筋肉を強化する方法というと無酸素運動が有効とされています。息を止めて、酸素を吸わなくても身体を動かすことができる運動を指していて、筋肉トレーニング(筋トレ)や短距離走などが該当します。
筋肉強化の専門家の最高峰といえばボディビルがあげられます。東京にいたときに理事を務めていた日本健康スポーツ連盟の当時の理事長は、日本ボディビル・フィットネス連盟の会長でもあったことから、体格のいい、頼もしい身体の人と出会うことが多くありました。
筋肉が多い身体は、筋力を鍛えているからですが、筋肉の力は一般に“筋力”と呼ばれています。筋力は収縮するときに発揮される力と筋肉が繰り返し収縮し続ける能力を指していますが、詳しく分類すると“筋収縮力”と“筋持久力”となります。
筋力には、もう一つの種類があって、それは“筋代謝力”です。これは筋肉が、どれだけの代謝ができるかの能力のことで、よく言われるのは「筋肉をつければ代謝が上がる」ということです。
ここでいう代謝はエネルギー代謝のことで、どれだけ多くのエネルギーを作り出すことができるかという能力が筋代謝力です。
筋収縮力と筋持久力で主に使われているのは速筋と呼ばれる筋肉で、白い色をしていることから白筋とも呼ばれます。白筋は無酸素運動によって強化されて、太くなっていきます。
これに対して筋代謝力を発揮するのは遅筋と呼ばれる筋肉で、赤い色をしていることから赤筋とも呼ばれます。赤筋は有酸素運動によって強化され、太くなっていきます。運動によって代謝を高めて、余計な脂肪をつけないようにすることを考えるときには、有酸素運動が有効になるわけです。
無酸素運動を続けると筋肉の中では疲労物質とされる乳酸が蓄積されます。乳酸は筋肉の働きを低下させるので、筋肉強化の後には有酸素運動としてのウォーキングやランニングをすることがすすめられます。
走るのが苦手とされるボディビルダーも、筋トレの仕上げには有酸素運動をしています。筋肉に蓄積された乳酸は、有酸素運動によってエネルギー化させることができます。筋肉運動の後のウォーキングは、よりエネルギー代謝を高めてくれます。
ウォーキングでも負荷がかかる早歩きをすると赤筋が増えていくので、この方法を使って、効果的に筋肉量のキープとエネルギー代謝の向上による体脂肪のエネルギー化を、今も実施しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕