日々修行108 慣れない移動手段の不安

IT業界との関わりは、前々回(日々修行106)、前回(日々修行107)で触れてきましたが、技術的なことは私が得意でないことはIT業界の方々は知っているので、できるだけ砕けた表現をしてくれていました。

また、パソコン専門誌からは、息抜きのコラムのような、パソコン作業で生じる肩こり、腰痛、眼痛などを改善する体操やツボ療法、ストレス解消に効果のあるサプリメントなどの仕事があるくらいでした。

ところが、親戚の方がインターネット業界の雄であったことから、IT業界から顧問の依頼がありました。私のコンテンツや情報というよりも、人脈を期待されてのことでしたが、これも経験と思って、六本木ヒルズの喫茶店に出向きました。

六本木にはテレビ朝日の本社があり、食品の広報(主には納豆、豆腐、豆乳)でディレクターとは六本木ヒルズでよく会っていたので、喫茶店はほぼ知っていました。待ち合わせの場所は、六本木ヒルズ森タワー内のチェーン店でした。

ここで話をするのかと思っていたら、すぐに席を立って、目の前のエレベータに案内されました。森タワーのエレベータはダブルデッキ式という画期的なもので、存在は知ってはいたのですが、実際に乗ってみると快適とはいえないものでした。

ダブルデッキエレベータは1台のエレベータが2階建てになっていて、行き先が偶数階と奇数階とで乗り込む位置が違っています。1回の行き来(上下動)で2倍の定員になるので効率的ということでしたが、その通りにはいかないものでした。

自分が乗っているカゴには乗る人、降りる人がいなくても、つながったカゴに乗り降りする人がいると停止します。停止したのに扉が開かず、そのまま待たされるというのは気分がよくないものです。

気分がよくないというのは、“待たされ時間”が無駄という感覚ではなくて、不安感でした。このまま動かないのではないか、目的の階についても扉が開かないのではないかという感覚に加えて、同乗する人がいたときの気まずい時間の過ごし方(天井を見るしかない)も嫌なものでした。

このダブルデッキエレベータには週に3回は乗っていて、その期間は2年近くにもなりましたが、最後まで不安は消えないままでした。

よく「仕事が楽しければ移動も苦にならない」と言われるのですが、楽しい仕事だったのに、ずっと移動は苦でした。

どんな楽しい仕事だったのか、何を求められたのか、何をしてきたのかという修行の日々については次回(日々修行109)で書かせてもらいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕