日々修行109 習わぬ業界用語を読む

コンピュータやインターネットに関する業界用語は、それなりに知っていたのに、知らないふりをしてIT業界と付き合ってきたことがあります。

その理由の一つは、私の参加を求めてきた人たちが専門分野のことではなくて、私が得意としていた健康関連の情報がほしかったからで、打ち合わせの場で使われる業界用語には何も反応をしないでスルーしていました。

初めのうちは業界用語を知っていようが知るまいが私の情報の出し方が変わることはないので、しばらくは過ごしていたのですが、その内容を深く伝えるという段階になると、徐々に打ち合わせでも業界用語が飛び交うようになりました。

それに対して、すぐに対応するのではなくて、徐々に理解していったような感じでいたときに、私を呼んでくれた代表が言ったのが「門前の“オヤジ”習わぬ業界用語を読む」でした。

これは、もちろん「門前の小僧習わぬ経を読む」の引用というかアレンジですが、習っていなくても大手新聞社の出版部門のパソコン雑誌にコラムを入れていた関係から、毎号(初期は隔週)掲載号を送ってきてくれていました。

時間があるときに目を通していたので、その蓄積があったことから、業界用語くらいは自然と入ってきていました。それを知らないふりをしていたのは、「相手の立場(優位性)を配慮する」という、今にして考えると余計な対応でした。

それでも初めのうちは専門外の人間にわかりやすく伝えようと説明調の砕けた表現、たとえ話をしながら説明していた人たちが、私の背景を知った途端に業界内で使われている業界用語を普通に使うようになって、これはこれで対応に苦労をしたことがあります。

というのは、専門用語であれば関連業界の共通言語であるので、違った解釈がされることはなくて、これでトラブルが起こるようなことはありませんでした。ところが、業界用語となると、同じIT分野であっても狭い範囲だけで通じる、言葉としては一緒であっても意味合いが違っているということがありました。

そのような用語に対して、私が意味合いを聞くと気分を悪くするのではないか、との感覚があって、意味合いの確認や間違いの指摘は私を呼んでくれた代表に話すようにしていました。

業界に詳しいことがわかると、急に距離を置いてくる人がいるのはIT業界に限ったことではなくて、その後も各業界との付き合いで経験してきました。それもあって、心を打ち解けられる方以外には、よくわかっていない世界の話に苦労しながらついていっている人という雰囲気で話をしてきたところがあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕