日々修行151 善玉と悪玉の鬩ぎ合い

今回のお題の「善玉と悪玉」は何を示すのかわかりにくい上に、「鬩ぎ合い」という読み方がわかりにくい言葉が続いて、何が書かれているのかわからないと感じた人もいるかと思います。鬩ぎは「せめぎ」と読みます。

何を言いたいのかわかってもらえるように書き進めていくようにしますが、まずは善玉と悪玉についての説明です。

善玉と悪玉についてネット検索すると、善玉菌・悪玉菌、善玉コレステロール・悪玉コレステロールという健康に関わる用語が上位に出てきて、本来の意味合いを知るにはスクロールしていくことになります。

もともとは、善玉と悪玉は江戸時代の黄表紙に描かれたキャラクターです。黄表紙はNHKの大河ドラマの主人公の蔦屋重三郎も手がけた大衆向けの読み物で、この中に登場する善の心を善魂(ぜんだま)、悪の心を悪魂(あくだま)として描かれました。

今で言えば、心を揺れ動かす「天使の声と悪魔の声」ということになるかと思いますが、善魂の顔は丸の中に善と描かれ、悪魂の顔は丸の中に悪と描かれていたので、魂が玉に変わり、その後は芝居の善人の役が善玉、悪人の役が悪玉と呼ばれるようになりました。

善玉と悪玉の由来から書き始めたのは、善玉菌と悪玉菌、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの命名者との付き合いがあり、その普及にも関わってきたからです。

善玉菌、悪玉菌の命名者は光岡知足先生で、知り合ったときは東京大学農学部の教授で、腸内細菌の専門家でした。

善玉菌と悪玉菌は何が違うのかというと、腸内で菌(細菌)としてやっているのは、栄養源(エサ)を取り込んで、内部で代謝させて活動のためのエネルギーを作り、不要となった代謝物を外に出しているだけです。

その代謝物が健康にプラスとなるものを出しているのが善玉菌、マイナスになるものを出しているのが悪玉菌と分けられています。

善玉菌が出しているのは酸性物質で、腸内環境を酸性化させて、善玉菌が増えやすい環境を作り出しています。悪玉菌はアルカリ物質を出しています。

悪玉菌が増えると腸内の酸性度が低下して、悪玉菌が増えやすくなります。腸内細菌の総数は、ほぼ一定数であるので、悪玉菌が増えると善玉菌が減ることになります。悪玉菌が出す有害物質は毒素とも呼ばれていて、大腸壁を刺激して炎症を起こしやすくなるだけでなく、毒素は大腸壁を通過して血液中に入ります。

血液中に毒素が増えると、これを処理するために免疫細胞が働き、そのために免疫細胞による病原菌などを処理する能力が低下することになります。これが免疫を低下させる原因と考えられているのです。

悪玉菌は不要なものではなくて、一定量は必要で、状態のよいバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合だとされています。このことは健康関連の話をする機会が得られたときには、できるだけ話をするようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕