日々修行153 赤ワインとの付き合い

今回のお題の「赤ワインとの付き合い」は、私が初めて飲んでから今までの変遷、どんな種類の赤ワインを飲んできたか、ということではなくて、赤ワインと健康に関わることとの付き合いのことです。

日本で赤ワインブームが始まったのは1998年のことで、それはフレンチパラドックスの研究が根底にありました。フレンチパラドックスは、フランス人は飽和脂肪酸が多い食事をしているにも関わらず、心臓病(中でも虚血性心疾患)に罹患することが比較的少ないという逆説的な観察を指しています。

虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓で心臓の中の血管が狭くなり、心臓に酸素と栄養が行き渡らなくなり、前胸部などに痛み(いわゆる心臓の痛み)や圧迫感といった症状が生じる状態です。

動脈硬化の最大の原因は悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポタンパク質)であることは日々修行152で書かせてもらいました。

赤ワインを飲むと動脈硬化を予防することができるという話題があり、赤ワインの健康成分はポリフェノールだということから“赤ワインポリフェノールブーム”と呼んだほうがよいかもしれません。

この時期は脂肪の過剰摂取で動脈硬化が増えていたこともあり、その当時の死因は心疾患が第2位で、それは今も続いています。脂肪を減らすのか、動脈硬化を抑える効果があるものを摂ればよいのかという論議があり、楽な方法としてメディアなどでポリフェノールの摂取がすすめられるようになりました。

赤ワインの健康成分を摂るには何を選べばよいか、という発想をしてもらえばよかったのですが、飲酒習慣がない人が健康のために赤ワインを飲んで、かえって健康を害したということも起こりました。

ポリフェノールは植物の苦味、渋み、アクなどの成分で、紫外線を浴びた結果の光合成によって作られます。

赤ワインのアントシアニンやレスベラトロール、緑茶のカテキン、チョコレートのカカオマスポリフェノール、大豆のイソフラボン、りんごのりんごポリフェノール、コーヒーのクロロゲン酸、烏龍茶のウーロン茶重合ポリフェノールなど400種類以上も発見されています。

強い抗酸化作用(活性酸素を消去する働き)があり、色素が多いほど抗酸化力が強い特徴があります。ロゼワインにもポリフェノールは含まれるものの、色が濃い赤ワインのほうが抗酸化力が強いというので、味わいではなくて色の濃さだけで選ばれるようなこともありました。

ポリフェノールの正しい情報について知りたいとの思いがあって訪ねたのが、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用の研究の第一人者の板倉弘重先生(医学博士)でした。
その話については次回(日々修行154)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕