赤ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用の研究成果は、国立栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)の板倉弘重(医学博士)などによって1997年に発表されました。
同年に『第三の栄養学』、翌年に『赤ワイン健康法』が出版されてから、テレビや健康雑誌などで赤ワインの動脈硬化予防などの機能性が大きく取り上げられたことによって、広く知られることになりました。
『赤ワイン健康法』は私の知人が代表の出版社の発行で、担当編集者は後に一緒に出版を仕掛けることになった仲でもあることから、テレビや健康雑誌などのメディアへの登場にも関わらせてもらいました。
板倉先生は、初めて直接の取材をさせてもらったときには国立栄養研究所の臨床栄養部長でしたが、それ以前にも日本チョコレート・ココア協会の抗酸化の講習会にも関わらせてもらっていました、
チョコレートのカカオとココアには活性酸素を消去する抗酸化作用があり、その健康効果を業界あげてPRするための広報活動が行われていました。
そのおかげでココアが売れたのですが、主となって動いていた食品会社のココアの売り上げランキングが3位になり、他の会社の商品に比べて期待したように売れなかったということがあって、ブームになるところまではいきませんでした。
その後に、世界各地から赤ワインの輸入・販売を目論んでいた大手酒販メーカーが目をつけたのが赤ワインポリフェノールの抗酸化作用でした。
赤ワインはフランスのボルドー大学によって基礎研究が行われていましたが、それに続いて同大学ではフランスの南海岸に自生するフランス海岸松の内部樹皮に含まれるピクノジェノールの研究が始まり、抗酸化機能が確認されました。
しかし、内部樹皮は量が限られることから原材料が多くあるブドウの種が注目され、その抽出成分のグレープシードオイルの抗酸化作用について報告されました。
その後には、緑茶のカテキン、魚介類などの赤い色素のアスタキサンチン、ごまのセサミン、トマトのリコピン、マリーゴールドのルテイン、カシス、ブルーベリーなど、さまざまな抗酸化成分が登場しましたが、2001年に決定的とされるコエンザイムQ10が登場しました。
コエンザイムQ10は同年に医薬品成分から食品成分として用いることが許可され、抗酸化成分の代表としてだけでなく、糖質と脂質を代謝させる補酵素として広く知られるようになりました。
こういった流れもあって、赤ワインブームは落ち着きていきました。その流れの、ほぼすべてにメディア広報などに関わってきたので、活性酸素と抗酸化成分には詳しくなりました。この内容は「抗酸化アドバイザー講習テキスト」としてまとめて、希望する方に内容を伝えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕