体質は遺伝と関係するものと遺伝とは関係がないものがありますが、ここでは遺伝的なことの観点で、糖尿病と高血圧について書いていきます。
私の父親の家系は糖尿病になりやすくて、“糖尿病体質”だと指摘されていました。父親も叔父(父の兄)も糖尿病で、父親は脳血管に影響が出て、叔父は心臓に影響が出ました。祖母も糖尿病から脳血管に影響が出たと聞いています。
糖尿病というと尿に糖が多く含まれるようになる病気と認識されることがあるようですが、血糖(血液中のブドウ糖)が多くなりすぎることで血管がもろくなっていきます。ブドウ糖が多く浸透した血管の細胞は新陳代謝が低下して、再生されにくくなることが原因です。
特にダメージを受けやすいのが毛細血管で、毛細血管が密集している神経細胞、眼の網膜、腎臓が早期に影響を受けるようになります。これは糖尿病の三大合併症で、頭文字をとって「しめじ」と呼ばれています。
母親の家系は高血圧症になりやすくて、こちらも“高血圧体質”だと指摘されていました。母親は高血圧で心臓に影響が出ました。祖父は高血圧で若くして脳出血になり、祖母は高血圧でありながら長生きしたものの脳血管の疾患がありました。
高血圧は単に血圧が高い状態を指していますが、治療が必要な段階になると高血圧症と呼ばれます。この“症”が付けられるような段階になると、動脈に強い負担がかかるようになり、心肥大、心不全、脳出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、眼底網膜病変、腎障害などの合併症が起こるようになります。
私は両方の遺伝子を受け継いでいるので、糖尿病にも高血圧症にもなりやすい体質だと子どものときから両親にも親戚にも言われていました。
これは健康のために食べ過ぎたり、甘いものを求めたり、おいしいからといって塩分を摂り過ぎないようにという注意喚起の意味もあったのだと思います。
3歳から6歳まで過ごした母親の実家の寺院では、裕福ではなかったものの饅頭などの甘いものは常にあって、漁師町で塩味が効いた魚も食べ放題であったので、今の感覚でいえば糖尿病と高血圧症のリスクがある食生活を“三つ子の魂”でしていたようなものです。
自分としては努力をしたつもりで、糖尿病も高血圧も無関係で古希を目前とした今まで過ごしてきました。弟は両方が出ました。
私も結構、無茶な生活をしてきたはずですが、どうして差が出たのかとの思いもあって、40代のときに遺伝子検査を受けてみました。遺伝子には問題がないという結果が出てから、今更ながらの感覚で、遺伝と生活習慣病の複数の論文を読みました。
要約すると、糖尿病や高血圧の遺伝子(体質)がある人が乱れた生活をすることによって発症するということで、その体質がない人は“少々の” 乱れた生活ではならないということです。
こうなると生活習慣病は、「本人の生活習慣が原因」とは言えなくなるのですが、このことを知ると“少々の乱れ”では済まず、乱れに乱れた生活をする言い訳に使われることもあるので、他の人には(できるだけ)言わないようにしています。
(とは言いながら、書いてしまいましたが)
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕