日々修行184 ダライ・ラマとパンチェン・ラマ

ダライ・ラマについては随分と前に書きました(日々修行126)が、そのときに、もう一人の化身ラマのパンチェン・ラマについても少し触れました。そう遠くない時期に、パンチェン・ラマについても書いておこうと思ってはいたのですが、2か月ほどが経ってしまいました。

私がダライ・ラマについて詳しく知るようになったのは、日本文芸家クラブの理事だったときに同時期に理事を務めていたペマ・ギャルポさんの影響です。ペマさんはチベット出身で日本に帰化した方で、チベット文化研究所所長、ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当代表も務めていました。

ダライ・ラマはチベット語で大海を意味するダライと、大師を意味するラマに由来しています。チベット仏教の守護尊は観音菩薩で、ダライ・ラマは観音菩薩の化身として転生系譜とされています。

現代のダライ・ラマが没すると託宣などによって次代のダライ・ラマが生まれる地方や特徴が予言され、そこで子供が探されます。本当の化身であるかを特徴や子どものときの癖、過去の記憶によってダライ・ラマの生まれ変わりと認定されます。

現在のダライ・ラマは14代で、初代のゲンドゥン・ドゥプパ(1391〜1474年)から500年以上は続いていることになります。

ダライ・ラマ14世の後継は中国政府が認定する、という話があり、もう一人の化身ラマであるパンチェン・ラマ10世が中国政府によって認定され、インドに亡命したダライ・ラマ14世の代わりを務めるような形になっていました。

ダライ・ラマはゲルク派(チベット仏教の四大宗派の一つ)の最重要の化身ラマで、それに次ぐパンチェン・ラマを併せて、二大ラマと呼んで2人の最高峰の指導者ともされています。

パンチェンはチベット語の「偉大なる」とサンスクリット語の「学者」の合成略語で、ラマは先の説明の通りで大師を表します。

ダライ・ラマが観音菩薩の化身であるのに対して、パンチェン・ラマは阿弥陀如来の化身とされていて、両化身は太陽と月になぞられることもあります。

阿弥陀如来は、私が生まれ育った母親の実家の寺院の宗派(浄土真宗)のご本尊でもあるので、大学で仏教を学び始めたときからパンチェン・ラマには強い関心を抱いていました。

パンチェン・ラマは、世俗的な政治権力を有していないことも、より近しく感じる理由でした。ダライ・ラマはチベット政府の長の務めがあるのに対して、パンチェン・ラマはゲルク派の最大寺院の座主となっています。

パンチェン・ラマもダライ・ラマと同様に転生をしています。

現在のパンチェン・ラマは11世ですが、ダライ・ラマ14世と亡命チベット政府から認められたゲンドゥン・チューキ・ニマと、中国政府に認められたギェンツェン・ノルブが並立状態となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕