がん患者を対象にして、キノコから抽出した成分を三大治療(手術、抗がん剤、放射線)と併せたエビデンスが存在することは前回(日々修行190)紹介しました。
そのキノコは槐耳です。
槐(えんじゅ)の木に寄生する硬質のキノコで、半円形で形が耳に似ていることから槐耳と書いてカイジと名づけられました。
薬用キノコとして知られるサルノコシカケと似た形をしていますが、サルノコシカケが1つの半円形であるのに対して、槐耳は3つの半円形が重なっています。
槐はマメ科の落葉広葉樹で、原産地の中国ほかに日本にも自生していますが、槐耳が生えることは稀です。中国では自生が確認されているものの、その数は少なくて、研究が始まった1970年代でも、すでに幻のキノコとされていました。
槐耳の漢方素材としての歴史は長く、1500年以上前の唐時代の医学書『新修本草』には「槐耳には治風、破血、主治五痔、心痛に効果がある」と記載されるほか、多くの文献に効果が記されています。
現代医学による研究は1979年から始まり、中国の8つの医療機関から100人近い研究者が集められ、国家プロジェクトによって薬理作用、臨床試験などが20年に渡って続けられました。
研究対象となったのは、実際のがん患者で、これは日本とは異なる研究ができる中国だからこそ実現できたことです。
手術、抗がん剤、放射線による西洋医学の抗がん治療とともに使うことを目的として、槐耳菌糸体の培養が行われました。槐耳菌糸体エキスを用いた免疫研究、毒性試験、臨床試験を繰り返し実施することによって国家Ⅰ類漢方新薬として認められました。
これは医療機関だけで販売することが認められている医薬品の分類です。
有効成分は多糖たんぱく質PS‐Tで、6種類の単糖と18種類のアミノ酸が結合して構成され、エキス顆粒に占める有効成分の割合は40%を超えています。
有効成分による免疫細胞の強化、アポトーシス(がん細胞の自滅)の誘発のほか、肝機能向上などが認められています。
このような成果を文献だけで知るだけでなく、実際に研究に参加した研究者や臨床医に取材する機会を得ることが重要ということで日本からも多くのアプローチがあったとのことですが、初めて中国で取材をして、国内で雑誌記事として紹介したのは私です。
北京オリンピックが間近に迫った時期でしたが、研究者や医療機関の取材だけでなく、製薬会社の工場まで取材させてもらい、文献に書かれたことが事実であることを確認しました。
中国では医薬品であり、他の国に持ち出すことができません。しかし、日本では、あくまで健康食品として販売することを条件として1社が輸入と販売が許可されています。その中身は、中国の医薬品の金克槐耳顆粒と同じ成分が同じだけ使われています。
これを国内の医療関係者は、あくまで治療の補助の健康食品としてすすめていることを知っています。中には、自分だけが使っているという医師もいます。私自身は幸いにして使うことはなかったものの、親戚縁者や知人の医師が使う機会があり、その結果もデータを見せてもらっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕