日々修行212 健康づくりの壁の存在

「今ほど科学が発展している時代はない」という認識があり、「情報の伝達は最高レベルに達している」と認識されることも多くなっています。

しかし、科学の発展の恩恵を存分に受けているとは言いにくい現実が一方にはあります。

そのギャップを生み出しているのは、どこに原因があるのか、常に考え続けてきて、それぞれの“単独”のことには結論らしきものを明確にしてきたつもりです。

明確になったら、次はギャップから生じる問題点を改善していく段階に移っていくべきだと承知をしていても、それができないこともありました。

そのギャップを生み出していることが制度上の問題であったり、その改善を図るには当たり前と思い込まれている(常識になってしまっている、変えることができない)ことがあり、手がつけられないまま過ごされてきたことがあります。

国の制度や大きすぎる仕組みは、現状では基本的に変えることができないことと認識されてきたところがあります。(アメリカのように強権をもって大変革をする人物の登場があれば別なのかもしれないのですが)

これまで私が関わってきたことで、絶対に改善されるべき、改善されないと望みがかなえられない、他に解決が求められない、自分で解決するしかない、そのためには自分で学ぶしかないと思い続けてきたことが複数あります。

その中から、ここでは一つだけあげることにします。それは健康と食に関することで、日本では健康の専門家のトップにいると認識されている医師が栄養学を充分に学んでいないまま指導がされていることです。

医師になるための教育機関(大学の医学部)の中で栄養学講座があるのは3分の1以下で、講座があっても選択科目(必修ではない)で、その内容は栄養不足によって発症する疾患についての講義がほとんどです。

このことは、これまでにも日々修行の中で触れてきましたが、私たちが知りたい栄養摂取による健康増進については学ぶ機会がないのが事実です。

これは栄養指導に関する保険点数の条件があるからで、保険点数がつくのは医療機関の管理栄養士による栄養指導が行われた場合に限られています。医師が栄養指導をしても保険点数がつかないことが医師の学習意欲を低下させ、それが医学教育の中でも重視されていない原因になっていることが指摘されています。

この制度の設立に動いたのは国立病院出身の管理栄養士で、私が主任研究員として身近に臨床栄養について学ばせてもらった病院栄養管理研究所の所長でした。

治療食に詳しい管理栄養士が栄養指導を行うのは栄養管理の専門家には、よい制度であったものの、栄養学の基本を知らない医師がいること、食と健康に関する情報が溢れかえっていて、何を信じればよいのかわからなくなりつつある今の時代に合っているのかというと、疑問のほうが大きくなっています。

そんな中で、自分の健康を守っていくためには、誰の言うことを聞いて、何を信じればよいのかを判断する基準が求められます。それと同時に、知識や実践法として欠けている部分があったら、それを補ってくれる存在が必要です。

医師の中には、本当に勉強をしてきて、栄養と医療を合致させて的確なアドバイスをしてくれる方もいます。東京にいたときには、そのような臨床栄養や予防医学などの学会のトップランクにいる医師と付き合ってきました。

その活躍は認めるものの、全国各地で、そのような医師の指導が受けられる状態ではありません。以前から育成と体制づくりを願っていて、その手助けもしてきました。しかし、私が東京を離れる8年前までに、それはかなえられず、地方に身を置く現在も達成できていないことを実感しています。

となれば、私がいる地方の狭いエリアだけでも、欠けている部分、不足している部分を補って、自分の健康を自分でデザインしていくことができる体制を残すことが、今の自分の役割ではないかと考えて、新年度からの活動を始める準備をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕