日々修行236 沖縄のイメージ戦略

物事を仕掛けるときには、プラスのイメージを強めて、マイナスのイメージを弱めるというのは通常の手法です。

いくらプラスのイメージを強める活動をしても、マイナスが大きすぎると、プラスのほうがゼロから上にいかないということは、これまでに何度も経験してきたことです。

マイナスのイメージを、かえってプラスのイメージに変える、それどころか絶対に必要というムードを作り上げていくことは、なかなか難しいことで、それをサポートする役割が回ってきたときには、断ろうかとも思いました。

その役割は沖縄の米軍基地の問題のイメージを逆転させるようなことで、近隣の国(ロシア、北朝鮮、中国)との緊張感がある中では、基地があるから安心というイメージは作りやすいのではないか、と言われたこともありました。

しかし、これをテレビ番組、それも全国キー局の企画にするとなると、一筋縄ではいかないことでした。その困難さに立ち向かうきっかけになったのは、2001年の厚生省と労働省の合併による厚生労働省の発足でした。

発足の準備が急ピッチで進められている前年に、沖縄の長生きのイメージを覆すような調査結果が出て、これを使うことが検討されました。そして、キーワードが必要ということで考えついたのが「26ショック」です。

今でこそ「26ショック」でネット検索すれば、どのようなことは簡単に知ることができる時代ではあるものの、その当時はWindows95から5年しか経過していなかったので、新たな話題用語を広めるのはテレビ番組が一番という時代でした。

26ショックは、沖縄県の男性の平均寿命が全国ランキングで2000年に26位に転落したことを指しています。この都道府県別ランキングは5年ごとに発表されています。

どのような変化(転落)だったのかというと、沖縄県の男性の平均寿命は1985年には1位だったところから1995年に4位となりました。それが5年後の2000年には26位になり、さらに2020年に43位になりました。

1995年というと安室奈美恵とSPEEDがデビューして沖縄の音楽が注目されて、沖縄の食事も多く取り上げられるようになりました。

2000年には「九州・沖縄サミット」が開催され、2001年にはNHK朝の連続ドラマ「ちゅらさん」が放送されたこともあって、沖縄の健康がメディアなどで取り上げられるようになりました。

しかし、実際には2000年は26ショックもあって、健康のイメージとは違ったことが起こっていたのですが、これがメディアで大々的に取り上げられることがなかったのは、沖縄の健康イメージを否定するようなことが許されない雰囲気があったからです。

それでも私は細々とではあっても、沖縄のイメージと実態について伝え続けてきました。その結果が現れたのは、私が納豆の全国PRに取りかかった2002年からのことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕