地政学を初めて知ったのは大学生のときに図書館で見つけた政治学の古い書籍でした。
私が通っていた大学は仏教系と呼ばれることがあるくらいで、図書館にも東洋哲学の書籍が多くて、地理的な要因と政治を結びつけた文献は中国の三国志だけだったように記憶しています。
そんな図書館で見つけたのは、地政学の副題がつけられていましたが、主題はゲオポリティクスでした。ゲオポリティクス(Geopolitics)はドイツ語(Geopolitik)が由来で、国際関係、外交戦略、紛争、自然災害、経済的相互依存、資源配分などを地理的な視点から分析する学問です。
地政学的に日本を見てみると、日本はアジアの東の端にあって極東と呼ばれます。日本から先には海路と空路で行くしかない遠く離れた大陸があり、多くの文化や産業は日本にとどまり、その先に行くことはほとんどありません。
あらゆる文化と産業、それに政治の仕組みなども取り入れて、日本で独自に発展させてきました。
このことだけなら地政学が登場するまでもないことですが、日本列島は微妙な位置にあって、中国、朝鮮半島、ロシアの目の前にあることから、ここを“どの勢力”が取るのかによって、世界情勢が大きく変わる可能性があります。
どれくらい重要な位置であるのかということは、地図を上下逆転させて見てみるとよくわかります。これについては古い書籍に書かれていたことではなくて、たまたま気づいたのは日本地図を見ている人とテーブルを挟んで座っているときでした。
北海道、本州、九州が弓形に中国大陸と朝鮮半島を覆うように位置しています。北端の択捉島に続く島々はロシアの南側からの海洋進出を妨げる形になっていて、西端の与那国島は台湾の近くにあって中国の海洋進出を妨げる形になっています。
その距離は約3000kmもあって、ここを通過できないとしたら、これほど邪魔になる国はありません。
この位置であることから、日本の同盟国のアメリカは基地を置くことにもなり、日本の国力を高めておくことの重要性から経済的にも成長させる必要があった、というのが地政学的な発想です。
この位置が日本にとってプラスでもあり、マイナスでもあるということですが、防衛関係の国会議員をゲストに招いて講演会を開いたときに、地図の上下を引っくり返してみることを話していました。多くの方は「何を話しているのだろうか」という雰囲気でしたが、その話を理解できたことが、その後の付き合いにつながっています。
地図の上下を引っくり返してみるだけでなく、さまざまな出来事は組織図、体制図、営業スキームなども含めて上下逆転させて再考するということをやってみることで、それまで見えてこなかったことに気づくことができるようになりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕