儲かる仕組みを作るのは組織にいる人間の重要な仕事のようなもので、それが長く続くようにした人は評価が高くなり、それこそ長く続く地位や収益が得られることにもなります。これは霞が関で付き合ってきたお役人にはよくあったことで、そのサポートをしたことで、私にも長く続く収益があったということも経験してきました。
そのときに、お役人に伝えていたのは「儲=信者」という漢字の組み合わせであるように、業界の信者を作り出すことが儲かるシステムにつながるということで、仕組みづくりの部分で研修や広報などの私が得意とすることを加えるようにしてきました。
それも東京を離れたことで、またコロナ禍のような従来の仕組みが通じないような出来事があって、次々と崩れてきました。それは多くの人が従来のシステムに疑問を抱くようなことがあったからで、これまでの仕組みを「信じていいのか?」と考える人が多くなってきたこともあります。
それでも“食”に関わることは比較的続いてきたのですが、令和の米騒動と備蓄米の放出で、随分と状況が変わってきました。
政府備蓄米は食糧難になったときの重要な物資であり、これを米が少ない、価格の高騰という状況では放出するのは当たり前の対応です。それは無償とは言わないまでも、ただでも世間の懐状態が厳しくなっている時期に、高めの価格で販売することには抵抗感があります。
そもそも「税金を使って国が買った政府備蓄米を売っていいのか」という疑問があります。また、原価がほとんどかかっていないはずの政府備蓄米が1年前の銘柄米の平均価格と同じくらいの価格ということから、なぜ米の価格が跳ね上がる理由を知りたい人が一気に増えました。
それは今ではメディアを通じて、多くの人が知るところになった“五次問屋”の存在です。
五次問屋がメディアで初めに取り上げられたとき、間違った図解がされていました。それは一次問屋が集荷業者で、五次問屋が消費者に販売すると説明されて、間に3つの問屋が入る形でした。
実際には、五次問屋には農家から買い取る集荷業者も、小売業者も含まれていません。
農家から買い取る集荷業者(その多くはJA)から初めに米が回ってくるのは一次問屋で、ここでは玄米として保管がされます。
二次問屋は加工(精米)、三次問屋は都道府県の卸売業者に販売、四次問屋は地域の卸売業者に販売、五次問屋は小売業者に販売という役割です。そして、そこから卸された小売業者が袋詰めして販売することになります。
これが全部の共通項ではないものの似たような形で、どこを問屋にするかは集荷業者が決めるので、JAの特約店のような位置付けになり、新規参入が困難となっています。
間に複数の問屋が入ることで、卸価格に送料、保管料、人件費、それに各段階で消費税がプラスされていくので、価格が上がる仕組みであり、それが儲かる仕組みの現況(元凶?)になっています。
この儲かる仕組みは、生産者のためでもなくて、消費者のためでもないと指摘されていて、それぞれが儲かった分は、どこに流れているのかという新たな疑問も湧き上がるだけに、「こんな仕組みでよいのか?」ということを深く考えさせられる機会となりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕