2011年3月11日の東日本大震災は、多くの人の生活と、その後の生き方にも大きな影響を与えました。私も影響を受けた一人で、私が力を注いできたテレビ番組(全国キー局)の健康関連の情報が大きく変わるきっかけとなりました。
テレビ業界ではNHKを除くと、スポンサー企業(番組提供)への配慮があり、番組内で伝える内容も、どうしてもスポンサー寄りになりがちです。少なくともライバル企業を利するような情報は出すことはできません。
スポンサーが関わる業界の情報を出す場合も、そのスポンサーが業界トップのシェアがあることが条件とされていて、例えばココアのポリフェノールの抗酸化作用が健康によいという情報は、ココアの売り上げが最も多い会社が提供しているときだけに許されていました。
それ以外ではタイアップ企画としてスポンサー企業以外の情報を出すこともありました。これはスポンサーの顔色だけを見ていたら番組として面白くなくなり、幅広い情報を提供することがメディアの役割であることから、“幅を広げる活動”として当たり前に行われてきました。
それが急になくなり、スポンサー企業(番組の提供企業とスポット広告企業)を気づかった番組が急に増えてきました。その代表的なものが工場見学で、食品の製造過程を見せる番組です。
商品の販売数や注目度(?)ランキングも急に増えてきて、クイズ番組の問題や解答も商品やサービスが取り上げられるようになりました。こういった情報発信にスポンサー料以外の追加料金が加えられるようになって、“小銭稼ぎ”番組が次々に登場してきました。
私のテレビ番組と関わりは昼の情報番組のコーナーの「今日は何の日」から始まりました。食品と健康に関わる記念日は、大手広告代理店の紹介で、記念日の取材をして、時には業界と一緒に記念日を作り上げて、情報としての記事の提供を行ってきました。
このようなことをしていたときには、テレビ業界は修行の場ではなく、自分にとっては楽しい場所であったのですが、3.11以降は急に厳しい修行の場になってしまいました。
それは情報の正確さ、社会的意義、話題性よりもスポンサーの顔色を伺うような内容が優先されて、それでも正しい情報を正しく伝えようとする姿勢を貫くのは大変な苦労があり、多くのことを学ばせてもらいました。
今年4月に全日本ミニマリスト協会の理事になりましたが、そのきっかけはミニマリズムの普及と同時に、代表理事が防災の専門家であるということも大きかったようです。
これまで考え、手掛けてきた健康関連の情報は災害の発生によって、いつなくなるかわからない、いつ大きく変化するかわからないという状況を経験してきただけに、防災の感覚を持って考えを進めていこうと思ったことも影響しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕