日々修行48 食器洗浄の業界で学んだこと

割烹でのアルバイトが後の厨房、調理、栄養の世界につながっていったということは前回(日々修行47)書きましたが、厨房業界の月刊機関誌の編集のアルバイトをしていく中で、割烹と料亭の食器の扱いが異なることを知り、これが後に役立つことになりました。

この新たなことに続いていくところが修行の面白いところであり、前にやっていたことが役立つことがわかると、今の“日々修行”も楽しく感じることができます。その感覚が、今の自分を作り上げてきたのかもしれません。

厨房業界の食器の洗浄というと、厨房機器の一つである食器洗浄機が使われます。小規模の厨房ではボックス型の回転式の食器洗浄機が使われます。料亭であっても、最大で100人分ほどだったので、料理の提供で使われる食器の数は多くても、ボックス型で足りる程度の量でした。

これが給食になると大量調理であることから、その後の洗浄も大量にこなすことができるベルトコンベア式の食器洗浄機が使われます。食器も大量洗浄に向くプラスチック食器(メラニン樹脂製など)が使われています。陶磁器とは違って、汚れやすいものがあり、特別なシステム洗浄が必要になります。

というのは、大量に食事をする食器は、多くの人の口元に行くことから細菌感染には最大限の注意が必要となります。給食の対象者が多くなるほど感染症対策は重要になり、中でも対象者が病人である病院給食、高齢者や弱者の福祉給食は衛生対策の重要度が大きく異なります。

そのために使われる洗浄剤は強アルカリ性のものとなり、その扱いは一般的な洗浄(食器洗い)とは大きく異なっています。

アルカリ洗剤は、汚れ落ちも衛生面でも効果があるものの、洗浄後に食器に洗浄剤が残るようだと毒物が料理に入ることにもなります。そして、残った洗浄剤を体内に入れてしまうことにもなります。

そこで食器洗浄は、洗浄からすすぎまで洗浄水などの量と勢い、噴射角度が定められていて、洗剤の濃度、洗浄水の温度が異なると洗えなくなるだけでなく、すすぎも充分に行うことができなくなります。

そのために食器洗浄機への食器のセットの仕方が決まっているのに、それが守られていないために充分に表れていない、すすぎも充分でないということが起こります。

もちろん、食器を傷つけないための配慮も重要になります。プラスチック食器のコーティングが剥がれるようなことになると、そこに汚れが残るようになるだけでなく、プラスチックが徐々に口から入ってくるようなことにもなりかねません。

こういった知識は、食に関わっている間は必要であることから、大量の洗浄だけでなく、小型施設であっても食器洗浄機を使っている店舗なども気になります。洗浄のチェックをして、安全の確保をすることを今、依頼されたとしても、すぐに対応できる状態です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕