前回まで紹介したサプリメント・健康食品の広告表現などの規制は、1996年から始まった規制緩和とバランスを取るように、緩和のたびに規制が強化されてきました。
サプリメントの広告規制の根幹となっている「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」は、有効性の一部を表示して販売することができる制度が始まる前に作られたもので、有効性を伝えられる制度に合わせて、少しずつ改正されてきました。
ヒト試験の結果を根拠として機能性が表示できる特定保健用食品(トクホ)の制度が始まったのは1991年のことでした。有効性ではなく、機能性という表記が規制にも使われるようになり、例えば高血圧を改善する有効性ではなく、血圧の上昇を抑えるという機能性という使い分けです。
特定保健用食品で許可された表示の内容を、特定保健用食品として認められていないサプリメント・健康食品が表示すると、以前よりも厳しく取り締まられるようになりました。
ビタミン、ミネラル、脂肪酸の一部が機能性を表示して販売することが認められた栄養機能食品制度が始まったのは2001年です。栄養機能食品は一定の量が含まれていることで、自己責任で機能性の一部を表示することができるものです。
この制度の弱点を突くような形で、ビタミンやミネラルで栄養機能食品として販売ができるだけなのに、それに加えた特徴的な成分が、あたかも国によって栄養機能食品として認められたかのようにして販売する会社が続出しました。
このようなことを取り締まるために、商品パッケージの表示が、より厳しくなっていきました。
論文や既存の食品で機能性が確認されているものは、その根拠を示して届出をすることによって販売できる機能性表示食品制度が始まったのは2015年です。特定保健用食品が販売する商品によって研究を行い、国の許可を受けなければならないのに対して、機能性表示食品は販売会社の自己責任によって行われるもので、かなりのバラツキがみられました。
機能性表示食品についても、許可された表示の内容を、機能性表示食品として認められていないサプリメント・健康食品に表示したときの規制が厳しくなり、「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」の内容を確認する会社が増えました。
そのおかげで規制の講習をする私の仕事も増えたのですが、規制や法律は変わっていない、ほんの少しだけの変化であっても、解釈が変わって厳しく対処されるようになりました。どのような解釈と取り締まりが行われているのか、常に確認をしておかないといけなくなり、修行のような日々勉強は今も続いています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕