ウォーキングには特別に意識することもなく、健康づくりの一環として付き合ってきましたが、本格的に仕事として取り組むようになったのは、私が日本健康スポーツ連盟になったときからでした。
日本健康スポーツ連盟は健康づくりの環境構築に取り組む公益財団法人で、多くの健康スポーツ団体と連携をしていました。私と同時期に理事になったのが、当時は日本ウオーキング協会の常務理事であったことから、同協会のサポートもするようになりました。
外から見ていたときと、中に入って見た印象には違いがあって、その中でも気になったのは日本ウオーキング協会が強く打ち出していた歩行距離を競うイベントのあり方でした。目標距離は地球1周分の4万kmで、日本ウオーキング協会が主管するウオーキング大会で歩いた公式の距離だけがカウントされていました。
これでは新たに参加した人は、前から参加している人を追い抜くことがほぼできません。ウォーキングは早く歩いたから、先に到着したからといって優劣がつけられるものではなく、あくまで記録されるのは距離だけです。
そして、最終目的の4万kmを目指して、一定の距離を歩いた人が段階的に表彰される制度を設けていて、これが参加者を離さない集客システムとなっていました。
ウォーキングは、さまざまな手法がある中で、日本ウオーキング協会が採用しているのはマーチングリーグというオランダを発祥とする集団で長距離の完歩を目指すタイプのウォーキングスタイルでした。
多くの人が同じ目的地に向かってリーダーに従って行動する方式で、ウオーキング大会では、できるだけ長い距離を歩くことから、まるで行軍のようだと言われることもありますが、由来から考えたら当たり前のことでした。
全国でイベントを開催するために、日本ウオーキング協会を頂点として全国に都道府県協会、各都道府県の市区町村協会の地域団体が組織化されています。全都道府県では日本ウオーキング協会の主管のもとに、各自治体が主催者となって大規模なウオーキング大会が開催され、都道府県協会の協力のもとに実施されてきました。
この組織的な活動は、日本人の健康度を歩くことによって高めることには一定の貢献をしてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって自治体主催のウオーキング大会は軒並み中止となり、市区町村協会の例会としての活動も縮小となりました。
その猖獗の3年が過ぎて、ウオーキング大会が徐々に再開されていきましたが、以前のように1年間に全国で延べ220万人以上が参加するという状態に戻ることはありませんでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕