男性と女性を比べると、体力的・筋力的には男性のほうが優っていますが、持久力や耐久力、それに免疫力などは女性のほうが圧倒的に優っています。冬山などで遭難したときに生き残りやすいのは女性です。
女性は体脂肪の量が多くて(平均すると男性よりも10%ほど多い)、蓄積された脂肪がエネルギー源となっているからだ、と説明されますが、理由は、それだけではありません。
免疫を司っているのは白血球やリンパ球などの免疫細胞ですが、中でも強い力を持っているのはリンパ球のB細胞です。B細胞は抗体を作って外敵を攻撃しています。その抗体を作り出す作用に影響を与えているのは性ホルモンです。
男性ホルモンはB細胞の抗体を作り出す作用を低下させてしまいますが、女性ホルモンは抗体を作り出す作用を高めてくれます。
免疫はストレスによっても低下します。女性は右脳と左脳を結ぶ脳梁が太くて、左右の脳をバランスよく使って、ストレスがかかりにくくなっています。男性の脳梁は女性よりも細くて、ストレスを弱めにくいので、どうしても免疫が低下しやすくなります。
女性の平均寿命が男性よりも長いのは世界的な傾向で、日本の場合は6年以上の開きがあります。これは男性が生まれたときから身体が弱い人の割合が高いからだと言われています。
厚生労働省の「人口動態統計」によると、出生数は女性が100に対して、男性は105〜107の割合で男性のほうが多くなっています。この傾向は60年前から変わっていません。
その後の年齢別死亡率は、男性が女性を常に上回っています。成人になるときには男女は同じ比率になっていくのが自然の流れであったのですが、医学の発展によって、子どものときに亡くなっていた(であろう)男性の命が救われるようになりました。
そのために、5年ごとの比較をみると20〜24歳でも25〜39歳でも男性は20万人ほど多くなっています。10年分を合わせると40万人の差があり、1年あたり4万人も男性が多い状態となっています。
この差が縮まってくるのは55歳を過ぎたところで、55〜59歳の合計数では男女の差はほぼなくなり、60歳を過ぎると女性のほうが多くなります。これが女性のほうが長生きという結果に結びついていきます。
言葉づかいには気をつけなければならないところですが、医学の発展がなければ亡くなっていたはずの男性は、健康面では弱いところがあり、それが心身の状態にも関わってきます。
発達障害の特性がある子どもは、子どもの10人に1人の割合となっていますが、男女比を見ると「7対3」で男性が多くなっています。女性の1に対して、男性は2.4倍になっているとの報告があります。
出生数の多さだけが理由ではないはずですが、このようなことを考えると男性の心身のケアには、もっと力を注がないといけないのではないか、ということを強く感じています。
そして、弱い男性の立場として、弱い男性の健康を考えることを、これからも続けていかなければならないと決意しています。
あと1か月ほどで古希を迎える身ではあるのですが。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕