日本人は体温が低く、欧米人や北方のアジア人と比べると1℃ほども平熱が低くなっています。新型コロナウイルス感染症の対策として37.5℃を施設などに入るときの基準としていますが、これでは欧米人などは簡単に引っかかってしまいます。体熱を多く作り出しているのは筋肉で、筋肉が多いほど体温が高まりやすいので、筋肉をつけることが体温を高めるための方策だとされていますが、女性は筋肉量が少なく、高齢者は運動をしても筋肉がつきにくいこともあって、その他の方法が検討されます。
筋肉で多くの体熱が作られるのは、筋肉細胞(筋繊維)に多くのミトコンドリアがあるからです。ミトコンドリアは糖質(ブドウ糖)や脂質(脂肪酸)を取り込んでエネルギー化させる小器官で、その量が多ければ多くの熱エネルギーが発生するのは間違いないことですが、欧米人などは脂肪酸をエネルギー化させる能力が優れています。それは多くのエネルギーを作り出せる体質というよりも、エネルギー代謝を促進する成分が日本人よりも多くなっているからです。
その代謝促進成分はL‐カルニチンです。これはアミノ酸を材料にして体内で合成されていますが、合成のピークは20歳代前半で、年齢を重ねると減少していき、そのために代謝が低下して、体温も上がりにくくなります。では、若い人は身体が冷えないのかというと、そんなことはありません。では、何が問題なのかというと、L‐カルニチンは食品にも含まれていて、その摂取が不足していると体内での量が少なくなってしまいます。
L‐カルニチンは肉類に多く含まれているので、肉類の摂取量が歴史的に多い欧米人などは体内の蓄積量が多くなっています。肉には脂肪も含まれていて、肉を多く食べると飽和脂肪酸によって血液がドロドロになりやすくなります。しかし、体温が高くて、血液の温度が高い欧米人は飽和脂肪酸が固まりにくく、日本人に比べたら健康被害が出にくくなっています。そこでサプリメントとしてL‐カルニチンを摂ることがすすめられているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)