日本人の肥満の人の割合は年々高まる傾向にあります。新型コロナウイルスの感染拡大で外出の機会が減り、自宅で飲食をすることが増えた結果、さらに肥満度が高まると考えられていますが、それでも世界的にみたら、それほどの状態ではありません。
日本人の肥満の割合は男性が30%以上で、アメリカでは37%を超えています。あまり差がないように思われますが、肥満の基準が違っています。肥満の判定にはBMI(Body Mass Index)が用いられています。日本語では体格指数と呼ばれていますが、体重(kg)を身長(m)で2回割って求められます。170cm(1.7m)で体重が72kgならBMIは約25となります。
日本の肥満の基準はBMIが25以上ですが、WHO(世界保健機関)の基準では30以上とされています。世界的には25〜30未満は過体重とされていて、肥満とはされていません。アメリカではWHOの基準が採用されているので、BMIが30以上となっているのですが、それで調査をした結果が37%以上ということです。日本人でBMIが30を超えているのは5%ほどでしかありません。
日本人の肥満率を統計上で下げようとしたら、単純にWHOの基準に合わせればよいということになりますが、これは乱暴な考えであることは誰もがわかるはずです。ところが、高齢化率については乱暴な考えが出されようとしています。現在の定義では高齢者は65歳以上となっていて、高齢化率は28.7%(2020年)です。
この高齢者の定義を変更すべきだと提言しているのは日本老年学会と日本老年医学会で、75歳以上を高齢者にしようという内容です。以前に比べると高齢者は心身ともに若返っているというのが理由ですが、2020年の統計では75歳以上の人は14.9%となっています。これを採用すれば日本は超高齢社会ではなくなることになりますが、世界の高齢化率ランキングは65歳以上を採用しているので、数字が下がったとしても、日本のランキングが変わって、日本の高齢化問題が解決するわけではないのは当然のことです。