朝食を食べない人は20歳代、30歳代の男性で多くみられます。その年代に特徴的に多いというだけで、朝食抜きの人は全世代の男女で増える傾向があります。人間の身体は朝食と夕食を食べるように作られています。脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖で、脳の中の保持時間は15時間ほどとなっています。夕食でブドウ糖が多く含まれる主食(ご飯)を食べて、次に朝食を食べれば脳のブドウ糖が途切れることはありません。ところが、朝食を抜くと例えば夕食を19時に食べたとすると翌日の午前中の10時には切れてしまうことになります。
脳はブドウ糖をコンスタントに使っているわけではなく、保持量が少なくなってくると節約型になり、だんだんと使う量を減らしながら脳機能が低いレベルで保持されていきます。量が減った状態でもまったくなくなるということはないものの、充分な機能が発揮されないままに脳が使われています。そのことには気づきにくいものの、実際には機能が低下していて、集中力が続かない、イライラする、仕事も勉強もはかどらないということが起こります。
朝食を抜くとエネルギー代謝に必要なビタミンB₆、ビタミンB₁₂が不足して、充分にブドウ糖と脂肪酸を燃焼させることができなくなります。
ビタミンB群のうちビタミンB₁とビタミンB₂は体内で24時間ほどは保持されるものの、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどで失われてしまいます。つまり、12時間に1回はビタミンB₆とビタミンB₁₂を補っておかないとTCA回路の働きが低下して、エネルギー代謝に影響が出ることになるわけです。
こういった話をすると、朝食抜きがいけないことはわかったので、夕食を抜くようにした、という人が出てきたりします。朝食を抜くと空腹を強く感じるのに対して、夕食を抜いた場合には早めに就寝すると空腹を感じないで済むというので、ダイエットを目的に食事抜きをする人がやりがちのことです。しかし、夕食抜きだと例えば昼食の12時から翌朝の7時まで19時間も空腹期間ができることになります。寝ている間には脳の機能が低下していることには気づきませんが、脳は全身の働きをコントロールしているだけに徐々に全身の機能低下を引き起こしていくことにもなりかねません。
朝食抜きも夕食抜きも、やってはいけないことなのです。