日本酒は普通酒(一般酒)と特定名称酒に分けられています。普通酒は製法も原料も問わないもので、特定名称酒は製法や原料に定めがあるものを指しています。特定名称酒は吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、本醸造酒に分けられています。
この分類が生まれたのは、以前の“三増酒”の反省があります。これは原酒の2倍もアルコールが加えられて3倍の量にしたもので、日本酒を飲んでいるのか、アルコールに日本酒を加えたものなのかという議論まで生まれたものでした。ここで使われているアルコールは糖分を含む材料を蒸留して作られたもので、100%の純粋のアルコールです。
本醸造酒という名称からは本来の醸造で作られた日本酒というイメージがあるものの、定義を見ると「精米歩合70%以下の米や米麹、醸造アルコールや水を原料にして造った日本酒」とされています。伝統的な純米酒は米、米麹、水だけで作られているもので、そこに醸造アルコールを添加したものが本醸造酒です。添加できる醸造アルコールの量は使用する米の重量の10%までとの規定があります。
一般に流通している日本酒は13〜15%のアルコール度数で、原酒は20%前後となっています。どうやってアルコール度数を下げているかというと原酒に水が加えられています。薄められた水の分も日本酒と同様に酒税がかけられているわけです。薄められたといっても、それで味が薄くなってしまうわけではないので、通常は調味料が加えられるようなことはありません。調味料を加えたら、それを表示する必要があります。
ところが、醸造アルコールを加えた場合には、醸造アルコールと表示されるだけで、醸造アルコールに加えられているものは表示する必要はありません。醸造アルコールは100%アルコールで味が薄まってしまうので、糖分などの調味料が加えられています。
何も手が加えられていないのは純米原酒で、精米歩合と製法で分類される吟醸酒、大吟醸酒であっても、純米、原酒でなければ“何か”が加えられているということです。