機能性食品の「“う”の字はいらない」と言われた時代

健康食品は、今では内容によって分類されていて、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があり、この3種類を合わせて保健機能食品と分類されています。保健機能食品は一部であっても成分の機能を表示することができます。といっても、消費者が期待する内容とは異なっていて、例えば栄養機能食品ではカルシウムが骨の強化によいという程度のことです。少なくとも、骨粗鬆症を予防する、改善するというような病気や身体の構造・機能に影響をするようなことを表示することはできません。
保健機能食品以外は、形状が医薬品に近いものであったとしても通常の健康食品と同じ扱いですが、それでも効果を期待させようという意図もあってか「機能性食品」という言葉も使われています。保健機能食品は届出や審査などを受ける必要があるのに対して、その中に含まれないものは食品として扱われます。単なる食品なのに「機能性」という文字が使われていることを指して、厚生労働省のお役人に「“う”の字はいらない」と言われたことがあります。
「きのうせい」の“う”がないと「きのせい」となり、漢字に直すと「気のせい」となります。ということで、お役人が言いたかったのは、機能性がある食品ではなくて、効果があったように感じるのは「気のせい」というレベルだということです。
健康食品や機能性食品と呼ばれるものの中には、形こそ医薬品に似ているものの、効果が感じられないものもあります。身体に影響を与えるような量が含まれていないということですが、そもそも健康食品などを規制する法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)には、身体の構造と機能に影響を及ぼすことを目的としたものは医薬品だと定義されています。
効果があってはいけないと定められていますが、それでも消費者に身体によいことを感じてもらおうと、研究・開発に励んでいる製造・販売会社があるのも事実です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)