次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに効かないのか

経済産業省関連の独立行政法人製品評価技術基盤機構が、新型コロナウイルスに対して次亜塩素酸水の評価が定まっていないことを発表しましたが、他の消毒剤では効果が認められたとの発表をしていることから、何を間違ったのかメディアは次亜塩素酸水には効果がないかのように報道していました。これを見た人から、次亜塩素酸水には本当に効果がないのかという問い合わせがありました。
次亜塩素酸水は塩酸か食塩水を電解(電気分解)することによって得られる水溶液を一般に指していますが、電解以外の方法で作られた次亜塩素酸水の検証については現在、行っている最中であり、今後の委員会で報告されるとしています。次亜塩素酸水に効果がないということではなくて、電解によって得られた次亜塩素酸水には効果が認められていないのに対して、電解以外の方法で得られた次亜塩素酸水については、まだ何も発表していないのです。
電解による次亜塩素酸水は安定性が弱くて、試験を行うタイミングによっては、せっかくの効果が失われた状態で調べているということになってしまいます。電解によって得られた次亜塩素酸水を、すぐに使わないと効果がないという結果にもなります。このような状況の中で今、注目されているのはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから得られる次亜塩素酸水です。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは、プールや公衆浴場でも使われているもので、安全性が確認されています。他の薬剤と比べると不安定とされているものの、次亜塩素酸水に比べると安定度は高くなっています。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは顆粒で保存されて、この状態では1年以上は状態が保存されます。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから得られた次亜塩素酸水も1週間以上(2〜3週間との報告も)は効果が継続します。
次亜塩素酸水は噴霧をして使われることが多く、室内に噴霧して新型コロナウイルスに対して効果があるのなら、密閉、密着でも使うことができるので、飲食店やライブ会場でも使うことができます。洗浄に使うときには100PPMの濃度ですが、噴霧するときには50PPMでも充分という研究成果もあります。さすがに密接なスキンシップをしても感染が防止されるというわけにはいかなくても、多くの人を集めたい業界には救いの機会になります。
文部科学省は、次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに対する有効性や噴霧での仕様の安全性が明確になっていないとして、全国の教育委員会に対して、学校の子どもがいる空間では噴霧しないように注意を呼びかける通知を出しています。これも電解の次亜塩素酸水での話で、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムから得られた次亜塩素酸水の噴霧による効果は、これからの研究対象となります。