歩くことによって血糖値が下がるのは、筋肉の中で白い色をした白筋がブドウ糖をエネルギー源としているからです。そして、歩くことによって中性脂肪値が下がるのは、赤筋が脂肪酸をエネルギー源としているからです。人間の筋繊維(筋肉細胞)は魚の白身、赤身のようにくっきりと分かれているものではなくて、白筋と赤筋が入り混じっています。無酸素運動をすると白筋が増え、有酸素運動をすると赤筋が増えていきます。白筋は瞬発力の筋肉で、赤筋は持久力の筋肉ですが、どちらの筋肉が増えたかによって筋肉の能力に違いが出てくるということです。
歩くことによって血糖値を下げたい人は、短時間のウォーキングを何回か繰り返す方法がすすめられ、中性脂肪値を下げたい人は長めにウォーキングをすることがすすめられます。これは運動を始めたときには10〜15分はブドウ糖が優先的に消費され、それ以降は脂肪酸が優先的に消費されるという仕組みになっているからです。中性脂肪は脂肪酸3個が結びつけられたもので、血液中を流れているときには中性脂肪の形になっているものが多くなっています。
わざわざ運動の種類や時間を切り替えることなく、普通に歩いているだけで血糖値も中性脂肪値も下がってくれればよいのですが、それを可能にしてくれるのが“ピントレ”です。正式名称はピンク筋トレーニングで、白筋と赤筋の両方の性質がある筋肉を増やす方法です。白筋、赤筋に対して桃色筋と呼ばれることがありますが、特別な運動によって新たなピンク色の筋肉ができてくるということではありません。白筋にエネルギー産生の小器官であるミトコンドリアが増えてきて、ピンク色に変わってくるのです。
その方法ですが、超スローのスクワットを行うだけです。肩幅よりも広めに足を広げて、つま先を外方向に向けます。ここから10秒間をかけて、ゆっくりと腰を沈めていきます。太ももが平らになった状態を2秒間キープして、あとは3〜5秒間で膝を伸ばしていきます。これを10回程度、週に2〜3回は行うようにします。これによってピンク筋が増えると、歩いているときだけでなく、なんと寝ているときにも余計なブドウ糖と脂肪酸を燃焼させて減らすことができるようになるということです。