これはテレビ局へのネタ提供の話なのですが、ウォーキングをすると腸の動きがよくなり、便通が良くなるということだが、その効果的な歩き方を教えてほしい、という依頼がありました。しかし、あっさりと断ってしまいました。というのは、効果的な歩き方、つまり骨盤を左右に大きく動かすように歩くとか、できるだけ腸を捻るように歩くということではなく、歩く機会を増やすことだけで腸内細菌の善玉菌が増えることを知っているからで、何も特別な歩き方をすることで効果が得られるわけではないからです。
日本人は腸が冷えやすいことが知られています。日本人の血液温度は、欧米人の比べると1℃ほど低く、これは脂肪を燃焼させる代謝力が弱いことに関係しています。温かい血液が勢いよく流れてくれば腸も温まるはずですが、もともと温度が低い血液が、さらに巡りが悪いのでは温まりにくくなるのは仕方がありません。
ウォーキングによって血流がよくなると、腸も温まりますが、腸内細菌の悪玉菌は腸内が温かくても冷えていても増殖しやすくなっています。それに対して善玉菌は腸内が温かいことで増殖していきます。
血流がよくて、温かければ善玉菌が増えやすく、腸内細菌は総数がほぼ決まっているので、善玉菌が増えれば悪玉菌が減って、腸内環境が整えられていくことになります。特別な歩き方をするよりも日常的に歩く機会を増やすこと、楽しみながら歩いて、腸を温めることが大切だということで、私が結論として話すようにしているのはノルディックウォーキングです。ノルディックウォーキングについては次の機会に。