歩くことによって筋肉が刺激を受けて、歩くほど強化されるのは事実ですが、歩いているだけで筋肉のすべての能力が高まるわけではありません。筋肉の強化というと、一般に注目されるのは「筋力」です。これは筋肉が発揮する強い力のことで、生活のための立ち上がる、歩いて移動するといった基本的な機能の基礎になります。これは重要な機能ですが、短い時間で終わってしまっては仕方がありません。そこで次に重要になるのは「筋持久力」で、筋肉のパワーを長く続ける力を指しています。
筋肉を鍛えるというときには筋力と筋持久力の両方に作用する運動が大切で、弱めの不可であっても繰り返し筋肉を動かし続けることが有効となります。ここまでのことは筋トレでも可能ですが、もう一つの重要な筋肉の能力は筋トレだけではつけることができません。筋肉は繊維状になった筋肉細胞が束になっていますが、瞬発力を発揮する速筋と、長く運動を続けることができる遅筋があります。速筋は白い色をしているので白筋、遅筋は赤い色をしているので赤筋ともよばれます。
白筋は魚では白身、赤筋は赤身に相当します。白身は普段は動きが遅いようでも急に激しく動くことができる筋肉で、白身魚は捕まえようとすると急に激しく動いて逃げてしまいます。赤身は長く泳ぎ続けることができる赤身魚の筋肉と考えることができます。人間の筋肉は、魚のようにはっきりと分かれているわけではなくて、白筋と赤筋が入り混じって存在しています。白筋を鍛えるには無酸素運動の筋トレが有効で、赤筋を鍛えるには有酸素運動が有効です。ウォーキングは有酸素運動そのもので、赤筋は歩くことで増やしていくことができます。
この赤筋の刺激で鍛えられるのが「筋代謝力」です。白筋はブドウ糖をエネルギー源にしているのに対して、赤筋は脂肪酸をエネルギー源にしています。歩くことは体脂肪を減らすダイエット効果があるわけですが、歩くことによって効果的に体脂肪を減らすためには、歩いて筋代謝力を高めるしかないということです。