脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖であることを前回説明しましたが、脳細胞に必要なものだけを通過させる血液脳関門を一部のアミノ酸も通過することができます。これはエネルギー源として脳細胞に取り込まれているわけではなくて、脳細胞を構成するタンパク質の材料として通過しているからです。
これは脳細胞に限ったことではなくて、三大エネルギー源のうちアミノ酸は身体を構成する重要な成分であることから、エネルギーとして使われるのは相応しいことではありません。そのために生活習慣病対策やダイエットのためにエネルギー摂取を制限するときには、糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)を減らすことはあっても、たんぱく質(アミノ酸)を減らすようなことはあってはいけないということです。
血液脳関門はビタミンもミネラルも通過します。ビタミンもミネラルも細胞を正常に働かせて、細胞内で起こる生化学反応に欠かせない成分となっています。特に重要なのは、全身の細胞がエネルギーを発生させるときの代謝促進成分としての働きがあるからです。
エネルギー源のブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸は高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化してから、エネルギー産生器官のミトコンドリアでエネルギー化されます。その変化の段階で多くの種類のビタミンが必要になります。
ブドウ糖がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₁、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸が必要となります。脂質が脂肪酸に分解されるときにはビオチンが働き、脂肪酸がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸が必要になります。
たんぱく質がアミノ酸に分解されるときにはナイアシンが、アミノ酸がアセチルCoAに変換されるときにはビタミンB₆が必要になります。アセチルCoAからエネルギー産生が行われるときにはビタミンB₁、ナイアシン、葉酸、ビタミンB₁₂が必要になります。このようにビタミンB群が組み合わされて、代謝が進められているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕