母子の栄養19 主要ミネラルの重要性2

子どもの健康には母親の妊娠前からの栄養摂取が重要ということで、通常の食事では不足しがちなミネラルの摂取のために、その特徴を知ることが大切になります。

カリウムは細胞内の酵素反応を調節する働きがあるミネラルで、正常な状態では体内ではカリウムはナトリウムの2倍ほどの量が保たれています。

ナトリウムと作用し合って細胞の浸透圧を維持し、ナトリウムの排出を促進することから血圧を正常な状態に調整する作用があります。また、神経系のシグナル伝達、筋肉の収縮、体液バランスなどの機能に関係しています。不足すると血圧が上昇し、不整脈、神経過敏、筋肉疲労などが起こりやすくなります。

食品では、海藻類のほかピーナッツ、リンゴ、バナナ、ほうれん草などに多く含まれます。

次に紹介するイオウは、必須アミノ酸のメチオニン、システインの成分で、身体の組織を作るために欠かせないミネラルです。健康な皮膚や爪、髪の毛を作る、軟骨・骨・腱を作る、肝臓の分泌を助ける、糖質と脂質の代謝に働く、細菌感染に対する抵抗力を高める、といった作用があります。

食品では、大豆、にんにく、たまねぎ、ねぎ、にら、アスパラガスのほか動物性たんぱく質(鶏卵、鶏肉、牛肉、豚肉、魚、エビ、貝)に多く含まれます。

ナトリウムは塩分の摂りすぎで指摘されるミネラルですが、不足させるわけにはいかないものです。

食塩の多くの割合を占めるミネラルで、体内では半分ほどは炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩酸ナトリウムなどとして細胞外液に存在していて、残りの半分ほどは骨に存在しています。細胞外液の浸透圧の維持、体液pHの調整、筋肉の刺激感受性の維持、胃酸や腸液の分泌の促進などの働きがあります。

塩素は胃液の塩酸の成分となるミネラルで、胃の中のpHバランスの調整、体液をアルカリ性に保つ、細胞外液の浸透圧の維持、膵液の分泌の促進などの働きがあります。不足すると胃酸の分泌量が減少します。

食品では、食塩や食べ物に含まれる塩分(塩化ナトリウム)から補うことができます。

マグネシウムは、多量元素のミネラルで、体内では60~65%は骨に含まれ、残りは肝臓、筋肉、血液などのタンパク質と結合して存在しています。300種類以上の酵素に作用する補酵素であり、筋肉の収縮、神経の興奮抑制、血管拡張による血圧降下などの作用があります。

食品では、ひじきやわかめ、アーモンド、ピーナッツ、大豆などに多く含まれます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕