母子の栄養5 食生活指針「エネルギー源」

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」では、「主食を中心にエネルギーをしっかりと」と示されています。ここでいうエネルギーは、エネルギーとなる糖質、脂質、たんぱく質を含むエネルギー源を指しています。

主食とは、ごはん、パン、麺類など、炭水化物を多く含み、エネルギーのもととなる料理のことを言います。健康寿命の延伸につながる健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照すべきエネルギーと栄養素の摂取量の基準が「日本人の食事摂取基準」に示されています。

現在、妊婦の平均的なエネルギー摂取量は1700kcal前後とされています。妊娠中には、適切な栄養状態を維持して、正常な分娩をするために、妊娠前に比べて必要なエネルギー摂取量が増加します。

妊娠前に比べて、妊娠初期(〜13週6日)は50kcal、妊娠中期(14週0日〜27週6日)は250kcal、妊娠末期(28週0日〜)は450kcal余分にエネルギーを摂る必要があります。また、授乳婦も妊娠前に比べて350kcal余分にエネルギーを摂る必要があります。

しかし、エネルギーについて「日本人の食事摂取基準(2015年版)」と現状の摂取量を比較したところ、充分にエネルギーを摂取できていない状況がわかりました。また、エネルギーをしっかりと摂取するためには、炭水化物を中心に食事を摂取することが必要ですが、炭水化物の主要な摂取源である穀類の摂取量は、20歳から49歳の女性において減少しています。

このため、妊娠前から意識的な主食の摂取が望まれます。一度に充分な量の主食を摂取することが難しかったり、3回の食事で充分に主食を摂取できなかったりする場合は、間食におにぎりを摂取するなど、主食からのエネルギーをしっかり摂取できるように心がけます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕