毛髪の科学21 フケは頭皮の“老け”

頭部で気になるものの一つにフケがあります。フケは頭皮の角質細胞に皮脂が混ざって乾燥して剥がれるもので、漢字では浮垢、雲脂とも書かれます。頭皮に限らず、皮膚はターンオーバー(新陳代謝)によって常に剥がれ落ちています。

通常のターンオーバーによって発生したフケは小さくて、毛髪を洗うときに取り除かれるので、フケが洋服の肩について残るようなことはないので目立つことはありません。

そのフケが目立つようになっているとしたら、ターンオーバーが早くなって、まだ剥がれるはずではなかった角質細胞が大きい状態で剥がれるので、目に見えてしまうことになるのです。

頭皮のターンオーバーが早くなるのは、頭皮の皮脂が関係していて、適度な皮脂の量のときには頭皮の常在菌であるマラセチア菌も適度な量が保たれています。皮脂は頭皮の潤いのもとであり、マラセチア菌は頭皮カビとも呼ばれる真菌の一種ですが、雑菌の侵入を防ぐ大事や役割をしています。

常在菌は常に皮膚に存在していて、頭皮の免疫の最前線として雑菌と戦ってくれている大切な存在です。

ところが、マラセチア菌が少なくなると雑菌が増えるだけでなく、多くなりすぎると皮脂を栄養源としているマラセチア菌が増えます。そのマラセチア菌によって遊離脂肪酸が増えて、脂漏性皮膚炎を起こすために頭皮の健康が保たれなくなります。

フケは乾燥フケと脂性フケの2タイプに大きく分けることができます。乾燥フケは洗髪のしすぎや強いシャンプーのためにダメージを受けていることが原因となっています。パサパサしたフケが特徴です。

脱毛予防には頭皮の刺激が必要と思って、ゴシゴシと洗ったり、爪を立てて洗うということによって必要な皮脂が洗い流されてしまうだけでなく、洗髪後に乾かすときにドライヤーの熱風を当てることでも乾燥が進んで頭皮を傷めることになります。

また、皮膚のアレルギーがある人も乾燥フケが増える傾向にあります。

脂性フケはベトベトした感じの湿っているフケで、皮脂の分泌が多いか、マラセチア菌が増えすぎたか、その両方が重なったために発生します。皮脂が多くなるとマラセチア菌が増えて、マラセチア菌が増えると皮脂が増えるという悪循環に陥ってしまいます。

フケの原因は、これ以外にもあって、不規則な食生活、睡眠不足、ストレスも大きく影響しています。食生活、睡眠、ストレスともに免疫に影響を与えます。

免疫は体に必要なものと不必要なものとを識別して、不必要な外敵だけを攻撃する能力のことを指しています。免疫が低下すると雑菌が増えて皮膚炎を起こす要因ともなります。年齢を重ねて老化が進むと、免疫が低下して炎症が起こりやすくなります。

また、頭皮に限らず皮膚のターンオーバーは深夜の0〜2時の間に盛んになる特徴があるため、この時間に寝ていることも大切になります。

フケを減らすためには、先ほどのきちんとした食生活、充分な睡眠、ストレスの軽減も必要ですが、それと同時に正しい方法でシャンプーをすることが大切です。シャンプーのしすぎがフケの原因の一つと聞くと、洗髪の回数を減らす人もいます。

洗髪そのものが悪いのではなくて、頭皮にダメージを与える成分が含まれたシャンプー、頭皮に余分な刺激を与えるような洗い方が問題なのであって、ターンオーバーで剥がれ落ちた角質細胞を洗い流しておくことは必要です。

シャンプーには乾燥肌用、ベビー用、アミノ酸系といった敏感肌を対象としたものがあるので、それを使って、毎日1回、頭皮は指の腹で優しく洗うようにします。

頭皮が乾燥して、かゆみがある場合には、シャンプーもリンスも残らないように、しっかりと洗い流します。ドライヤーはできるだけ短時間にするようにします。

乾燥フケの場合には、皮脂を取り除いて頭皮を乾燥させる作用がある石油系や高級アルコール系のシャンプーは避けるべきです。

脂性フケの場合には、毛穴の皮脂が取り除かれたほうがよいので、シャンプーのときに頭皮マッサージをするのも有効ですが、フケの原因を減らすためにマラセチア菌の増殖を抑える作用がある成分が含まれたシャンプーを選ぶようにします。その成分はミコナゾール硝酸塩です。

脂漏性皮膚炎は30歳以降で多くなり、男性は女性の2〜3倍と多くなっていることから、マラセチア菌を増やさないように、適したシャンプーでしっかりと洗髪することが必要だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕