毛髪の科学32 夏の日差しは毛髪も日焼けする

8月20日は「頭髪の日」という記念日です。

8月20日といえばお盆も過ぎて、暑さが和らいでくる時期ではあるものの、まだ紫外線は強く、毛髪が強い影響を受けている時期でもあります。夏場に毛髪が乾燥したり、舳先がパサつくのは気温のせいだけでなく、一番の要因は紫外線です。

紫外線のケアというと日焼け止めに使われているサンスクリーン剤は、日焼けや皮膚の光老化を防止するための紫外線散乱剤、紫外線吸収剤が使われています。

シミ、シワ、たるみの原因となるUVA(紫外線A波)を防ぐPAと、日焼けの原因となるUVB(紫外線B波)を防ぐSPFで、その強さが評価されています。

UVBは表皮だけに届き、UVAは真皮まで届きます。そのため、UVAを強く浴びると日焼けでは済まずに細胞が破壊されることもあります。

頭皮は皮膚で、顔の皮膚の延長と考えることができます。日差しが強いときには、毛髪では紫外線は防ぐことができず、頭皮の奥までが傷んで、そのために頭皮の血流や毛髪の育成にも影響を与えることになります。顔や腕などが日焼けをしたときには、頭皮も同様に日焼けをしていて、皮膚トラブルを起こしているのです。

毛髪が日焼けをしたときには、毛髪のタンパク質であるケラチンが壊れます。これがパサつきの原因となっています。同じだけの紫外線を浴びても、乾いた状態と濡れた状態では影響が異なります。プールなどで濡れた状態で紫外線を受けると、毛髪の中で酸化が起こり、毛髪の色素であるメラニンが分解されやすくなります。

この分解によって赤色化が起こります。プールに入ると消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムによって脱色が起こります。次亜塩素酸ナトリウムは漂白作用もあるからですが、夏場のプールは、これに紫外線の影響もあって毛髪の脱色が起こりやすくなっているのです。

毛髪を黒色にしているのは内側にメラニンがあるためで、メラニンには紫外線を吸収する効果があります。しかし、毛髪の表面をウロコ型に覆っているキューティクルにはメラニンがありません。紫外線をカットすることができず、紫外線を直接に受けることでキューティクルが傷み、乾燥してパサつき、艶がなくなり、クシ通りも悪くなってしまいます。

日焼け止めというと一般には皮膚用、中でも顔の日焼けを防止するためという印象がありますが、毛髪のための日焼け止めもあります。一つはスプレー式で、外出前にスプレーをすることで毛髪をコーティングするものです。日焼け防止だけでなく、髪型をキープする作用もあるので、夏場のお出かけ前には毛髪全体にかけるようにします。

紫外線カット率は50%から限りなく100%に近い99.9%まで差があります。紫外線ダメージが気になる人は、できるだけ紫外線カット率が高いものを選ぶようにします。スプレー式の効果は2〜3時間ほどなので、長く外にいるときには2時間おきにはスプレーするようにします。

もう一つはトリートメント式で、UVカット効果があり、洗い流さないようにして毛髪を紫外線から守るものです。洗い流さないトリートメントのすべてに使われているわけではなくて、日焼け防止専用のトリートメントとなっています。

紫外線を受けるとキューティックルが傷むので、トリートメントが毛髪に残ることによって、よりダメージをケアすることができます。

毛髪は正常な状態ではアミノ酸のシスチンが結合しているのですが、紫外線を浴びた毛髪は酸化が進んでシステイン酸が発生します。こうなると元の状態に戻ることがなく、傷みやすくなります。紫外線を浴びれば毛髪は必ずダメージを受けるので、夏場だけでなく年間を通じて紫外線ケアはしたいものです。

というのは、紫外線が強い季節は日差しが強い7月、8月ではあるものの、紫外線は9月から10月までは多い日が続きます。多い日というのは晴天を指していますが、紫外線は曇り空でも容赦なく降り注いでいます。曇りでも晴天の50%ほどの紫外線量はあり、薄曇りでは80%ほどにもなっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕