毛髪の科学58 男女で異なる薄毛の原因

毛髪が薄いというと、本数が減っているように思われがちですが、実際には本数の減少ではなくて、毛髪が細くなっているのが大きな原因となっている人が少なくありません。細くなっていると少し抜け毛が増えても薄くなったように感じます。これが気になり、ストレスになって抜け毛が進むという悪循環になる場合も多いのです。

男性と女性の薄毛の状態を比較すると、女性は本数が減っていて、男性は本数よりも毛髪が細くなっているという傾向があることを確認したのは資生堂で、初めに男性の薄毛の調査を行って、「男性の薄毛は本数減ではなく、髪が細くなることに起因している」と発表しています。

それに続いて、女性の薄毛の調査を行い、「女性の薄毛は髪が細くなるのではなく、本数の減少が大きな要因となっている」と、男性とは異なる原因であることを突き止めて発表しています。

毛髪の太さ(直径)は、平均で0.08mmとされ、これは男女ともに変わりはありません。一般的なイメージでは男性のほうが太いようなイメージがあるのですが、太さに差はなかったのです。

といっても、これは平均的な数字で、太い人では0.15mmと2倍近くも違っていることになります。直径が2倍近く違えば、全体の量の違いは、もっと大きくなっていくので、太さの問題は見た目に、かなりの影響を与えることになります。

女性は年齢が進んでも細くなりにくいのに対して、男性のほうが年齢が進むほど細くなっていく傾向があって、これが年齢が進むと薄毛になっていくことに大きな影響を与えているようです。

日本人の毛髪の太さを欧米人と比べてみると、欧米人は0.05mmであるので、日本人は平均的には1.5倍も太くなっています。そのために細くなっていったときに、太いままの人と比べて薄くなったように見えるということです。

毛髪が細くなると、量だけの問題ではなくて、ハリやコシも弱くなっていきます。いわゆるボリューム感がなくなっていくので、本数や太さの影響だけでなく、より薄く見えるようになっていきます。ボリューム感がないとペタンとした状態になって、地肌が見えやすくなるので、ますます薄毛に見えるようになります。

いわゆる髪質が柔らかいという状態で、髪型やヘアセットで薄さが目立たないようにしても、長続きしないという特徴があります。

これに対して毛髪が太い人の場合には、1本ずつがしっかりとしていて弾力性があり、ハリとコシがあって、髪型にしてもヘアセットにしてもボリュームが出やすくなっています。一般には毛髪が太い人は直毛になりやすいのですが、中には断面が丸形ではなくて、楕円形になっている人もいます。丸形は弾力性があるのに対して、楕円形では横からの圧力によって曲がりやすく、ヘアセットが長続きしないために、より薄毛に見えることになります。

男性は本数よりも細さが薄毛の原因ということは、脱毛が多いわけではない人の場合には、薄毛になりにくい、薄毛になる時期を先延ばしすることができるということになります。薄毛であれば、必ずしも薄毛が進行する、いわゆるハゲになるわけではないということです。

男性の薄毛の原因が毛髪の細さだということがわかったところで、では、どのようにすれば薄くならないようにできるのか、ということが気になってきます。

毛髪はヘアサイクルを繰り返していて、正常なサイクルが保たれていれば、抜けた後から同じ太さの毛髪が生えてくるのが通常の形です。

ヘアサイクルが正常なリズムで繰り返されていても、前よりも太い毛髪が生えてくるわけではなくて、現在の状態が保たれるのが原則です。ただし、年齢を重ねていくと細くなっていくことはあるので、ヘアサイクルを保ちながら本数を減らさないようにするのが薄毛対策としては重要になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕