生活習慣病は、初期段階では自覚症状がないのが特徴といえます。自覚症状が起こってから医療機関に行けばよいと考える人が多い中、自覚症状のない人に検査を受けることをすすめるのは容易ではありません。
検査によって生活習慣病が発見される人のほとんどが、自覚症状があって医療機関を訪れたわけではないという事実もあって、健康診断の重要性が叫ばれます。しかし、健康診断を受けて、検査数値が高いことを指摘されても、これを重大なことだと考えない人が数多くいます。
自覚症状がなくて、検査数値の意味、生活習慣病のリスクがなければ、それほど真剣に考えることがなくて、そのことが徐々に身体を傷めていっていることにも気づきにくくさせます。
なぜ自覚症状がないのかというと、生活習慣病の多くを占める高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)は血管の老化を進めていくもので、症状が現れるまでには長い時間がかかるからです。
そして、血管にダメージが重なり、自覚症状が現れるようになってからは、もう元には戻れない状態になっていて、いわゆる“手遅れ”の状態になっているからです。日本人の成人のうち患者と予備群を合わせると5人に1人の割合になっている糖尿病を例に見てみると、細くて、もろい細小血管(毛細血管)が多くて、ダメージが比較的早く起こるのは神経細胞、目の網膜、腎臓です。
この3つを理解しやすいように「しめじ」としていますが、神経細胞の働きが悪くなると傷に気づかずに壊死して足を切断する、目の網膜の血管が弱まって網膜剥離となって失明する、腎臓の機能が低下して人工透析が必要になるといった三大合併症が起こります。
ここまで進むと、自力だけでなく、医療によっても元に戻ることは不可能となります。これらの合併症がみられる段階では、動脈が硬くなり、細くなっていく動脈硬化も全身で起こっています。
このような“手遅れ”にならないためには、検査結果の意味を知り、生活習慣病の恐ろしさを知ることが重要であることから、検査用語を的確に読み解くことができる能力を身につけるために「治検」(治療用語検定)を実施するのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕