注意欠如・多動性障害のある子どもの教育の合理的配慮

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、注意欠如・多動性障害のある子どもの教育における合理的配慮の観点について紹介します。
注意欠如・多動性障害の子どもの教育に当たっては、どのような場で教育をするにしても、教育内容・方法の配慮を検討する必要があるとしています。
教育内容の学習上または生活上の困難を改善・克服するための配慮として、行動を最後までやり遂げることが困難な場合には、途中で忘れないように工夫したり、別の方法で補ったりするための指導を行います(自分を客観視する、物品の管理方法の工夫、メモの使用など)。
学習内容の変更・調整として、注意の集中を持続することが苦手であることを考慮した学習内容の変更・調整を行います(学習内容を分割して適切な量にするなど)。
教育方法の情報・コミュニケーション、教材の配慮として、聞き逃しや見逃し、書類の紛失などが多い場合には伝達する情報を整理して提供します(掲示物の整理整頓・精選、目を合わせての指示、メモなどの視覚情報の活用、静かで集中できる環境づくりなど)。
学習機会や体験の確保として、好きなものと関連づけるなど興味・関心がもてるように学習活動の導入を工夫し、危険防止策を講じた上で本人が直接参加できる体験学習を通した指導を行います。
心理面・健康面の配慮として、活動に持続的に取り組むことが難しく、また不注意による紛失などの失敗や衝動的な行動が多いので、成功体験を増やし、友達から認められる機会の増加に努めます(充分な活動のための時間の確保、物品管理のための棚などの準備、良い面を認め合えるような受容的な学習の雰囲気づくり、感情のコントロール方法の指導、困ったときに相談できる人や場所の確保など)。