文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、注意欠如・多動性障害の理解について、前回に続いて障害の状態の把握を紹介します。
注意欠如・多動性障害かどうかの判断に当たっては、必要に応じて、専門の医師または医療機関による評価を受けることを検討すべきであるとしています。
注意欠如・多動性障害の原因となり得る中枢神経系の機能不全が、主治医の診断書や意見書などが記述されている場合には、特別に配慮すべきことがあるかどうかを確認します。
他の障害や環境的要因が注意欠如・多動性障害の直接的原因でないこととして、以下の項目があげられています。
(1)他の障害や環境的要因が、不注意、衝動性・多動性の直接的原因でないこと
子どもの校内での生活における行動の記録や、家庭や地域から寄せられた家庭や地域における生活についての情報、校内委員会などで収集した資料などに基づいて、他の障害や環境的要因が注意欠如・多動性障害の直接の原因でないことを確認します。その際、必要に応じて、対象となる子どもが在籍する通常の学級における授業態度の観察や保護者との面談などを実施します。
(2)他の障害の診断をする場合の留意事項
学習障害や高機能自閉症などが不注意、衝動性・多動性の直接的原因であれば、注意欠如・多動性障害と判断することには慎重でなければなりません。しかし、学習障害と注意欠如・多動性障害が重複する場合が多いことや、これらの障害の近接性を考慮して、学習障害や高機能自閉症などの存在が確定される場合においても、注意欠如・多動性障害の可能性を即座に否定することなく、慎重に判断する必要があります。

