活性酸素を減らしてLDLの酸化を防ぐ

悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL(低比重リポたんぱく)は、動脈硬化のリスクを高めるので、まさに悪玉だと思われがちですが、LDLの役割は肝臓のコレステロールを全身に運ぶことです。LDLが増えるということは、全身の細胞膜の原料とホルモンの材料であるコレステロールが運ばれることなので、身体にとってはよいことのはずです。それが悪玉と呼ばれるようなことになるのは、LDLが酸化して酸化LDLとなってしまうからです。
LDLは身体に必要なものなので、免疫細胞が攻撃するようなことはありません。ところが、LDLが活性酸素によって酸化すると、免疫細胞にとっては異物と認識されるようになります。食用油が酸化するとサラサラからネバネバに性質が変わることをイメージしてもらえればよいかと思います。酸化したLDLは免疫細胞の一種のマクロファージによって内部に取り込んで処理をする貪食が起こります。そして、多くの量の酸化LDLを貪食するとマクロファージは活動を停止して、血管の内膜に入り込んでしまいます。そのために血管壁が厚くなり、硬くなって、弾力性も失われていきます。これが動脈硬化の始まりです。
ここまでわかると、悪いのはLDLではなくて酸化LDLであり、LDLを酸化させる活性酸素だということがわかります。わかっただけでは仕方がないので、活性酸素を消去するものについての知識が必要となります。食品に含まれているものでは抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンA、C、Eが第一ですが、それとともに注目されているのは抗酸化成分です。植物に含まれている色素は内部で発生する活性酸素を消去する成分です。植物は紫外線を浴びて、光合成によってたんぱく質を作り出しています。植物に紫外線は必要ですが、紫外線は活性酸素を発生させます。その活性酸素を消去するために蓄積されたのが色素で、紫外線が強い地域の植物は色素が濃くて、色鮮やかになります。
トマトのリコピン、緑黄色野菜のカロテノイドやルテイン、ブドウのアントシアニン、ミカンのクリプトキサンチン、緑茶のカテキン、大豆のイソフラボン、コーヒーのクロロゲン酸、ゴマのリグナンとセサミン、赤ワインのレスベラトロール、動物食品では鮭やイクラのアスタキサンチンがあげられます。