活躍社会推進14 学習障害者の活躍の場

厚生労働省の「厚生労働白書」(令和2年版)の中で触れられている超高齢社会における社会の変容の中における働き場については今から4回前(活躍社会推進10)に紹介しました。

そのときから20年後の2040年(令和22年)には、高齢化率は35.3%(高齢者数3921万人)と推計されています。2020年では28.4%(3589万人)、30年前の1989年(平成元年)では12.1%(1489万人)であるので、急速に増えていることがわかります。

これだけの高齢者を支えるためには、そのための人材も増やしていく必要があります。これについては、1989年の医療・福祉の従事者は221万人(総就業者数の3.6%)であったのが30年で843万人(12.5%)に増え、その20年後には1070万人(20%)にもなるとしています。

初めの推計では海外の人材も確保されていることが期待されていました。ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって減少した海外の人材は、今になっても大きくは回復していません。

海外からの働き手が大きく不足して、国内の人材に頼るしかなくなったことで、5人に1人が医療と福祉で働かないことには、超高齢社会を支えられないという実態が明らかになってきました。

その人材として発達障害がある人が期待をされていますが、その人材としては自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害がある人が主に考えられてきました。学習障害がある人は、読み・書き・計算で困難さを抱えていることから、戦力として計算に入れられてこなかったのは事実です。

医療と福祉の世界で中心的に働くためには専門の資格が必要で、発達障害の人に、中でも学習障害がある人が、その位置取りで働くことを求めるのは大変なことだと認識されています。しかし、全就業者の20%も必要な時代となると、資格者の仕事の周囲に新たな働き場が着実に増えていきます。

その裏付けとなっているのはIT技術の進展で、IT技術を活用すれば子どもの場合には学習障害を克服することも可能となってきました。まだ社会人に対しては、IT技術が充分に活かされていないところがあるものの、あまりの働き手不足に対応するには、学習障害がある人でも強力な戦力とする社会構造の変化が進まなければならない時代となっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕