活躍社会推進20 身体の揺れを調整する機能の調整

学習障害がある子どもを見てみると、自分では姿勢を保って座っているようでも、実際には細かく身体は揺れていて、それを微妙に調整して学習に必要な手の位置、目の位置を、できるだけ同じ位置にしようとしていることに気がつきます。

その調整能力が発達の状態によって整っていないと、同じ姿勢を保つことができなくなり、また身体が揺れている感覚が続いて、学習に集中できないことにもなります。

身体は、まっすぐに立っているようでも必ず揺れ動いています。揺れないように身体を固定させるようにしても微妙な揺れは続いています。

これは立っているときにだけ起こることではなくて、椅子に座って姿勢を保つようにしても揺れないということはありません。

頭が揺れると目の位置が動くことになります。目の位置が動いても、通常は見たいものを正しくとらえるために眼球を動かして、眼球は正常な位置に保つように調整されています。

ところが、調整能力を超えるほど目の位置が動くと、目から入ってくる画像情報が揺れることになります。

大きな揺れの中で画像の調整は不可能になるものの、小さな揺れは脳の中で画像の調整をして揺れていないのと同じように、もしくは揺れを小さくすることができます。

これは脳にはデジタルカメラの手振れ防止機能と同様の機能があり、揺れている画像を揺れていないように脳の中で調整して見せる機能が備わっているからです。

この脳の調整機能が、発達障害のためにうまく機能せずに、揺れを揺れのままに画像化することがあります。

このように、学習障害がある子どもの中には、他の子どもには静止している画像に見えているものが、自分だけが揺れて見える、そのために判読できない、判読するまでに時間がかかる、落ち着かない、集中して学べないという困難さも起こっているのです。

揺れを感じて、それが学習障害として現れるようになってからでは修正が難しいこともあります。発達障害は、脳の発達に偏りがあるために発する脳機能障害であることから、その改善のためには、基本的な脳活動をする脳幹を活性化させることが必要となってきます。

幼いときから運動によって身体の動きを調整して、画像の調整機能も高めるようにすることが大切になります。

運動によって生きる脳の脳幹を活性化させることは、感じる脳の大脳辺縁系を鍛え、考える脳の大脳皮質を鍛えて、学習面での改善につながっていくことを理解してほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕