温暖化と感染症拡大の関連性

環境省の発表資料によると、20世紀の100年間で地球の平均気温は1.1℃上昇しています。2000年代の20年間は、過去1000年で最も温暖な20年となっています。温暖化によって蚊の発生数が増えることによる媒介感染の拡大が起こるようになります。感染性の細菌やウイルスは温暖化によって気温が上昇すると温度が高いところへと移っていくため、媒介感染する蚊が活動範囲を広げていくと、それにつれて細菌やウイルスも広まっていき、健康被害が引き起こされるようになります。感染拡大は蚊によって起こるものは少数派です。
直接、死につながる感染症のコレラやマラリア、デング熱などは、熱帯地域に近いほど気温が上昇しないと日本で増殖するようなことはありません。しかし、これらに比べると感染力は弱くても、感染性の細菌やウイルスは気温が上昇するほど活動範囲を拡げてきています。温暖化によって、日本は夏日が早く訪れ、残暑も気温が高い状態が長く続いています。
免疫力は、これまで体験した細菌やウイルスに打ち勝てるように獲得してきたもので、新たな病原菌や数が増えすぎた場合には対応できなくなることがあります。活動範囲の拡大は、今までの免疫力では通じないということも引き起こすことになります。
体内で増殖することによって健康被害を与える細菌やウイルスなどは、体温に近い温度になるほど活発に働くことが知られています。ウイルスは細菌とは異なり、生物としての機能の一部がないために、人間などの生物に取りつかないと生きていくことができません。人体内で増殖するウイルスは、人間の体温に近づくほど活動力を高めていくだけでなく、毒性も強めていくことが知られています。
気温が高くなるほど、これまでその地域にはいなかった、もしくは少なかった細菌やウイルスなどが増え、その威力が増していくことになります。その特性を知り、生活環境の温暖化が進む中での対応を考えていくことが感染防止には重要なポイントとなるということです。