牛乳を夜に飲むのは効果があるのか

牛乳は朝食に飲むものという常識は冷蔵庫の普及と関係していた、という話を前にしましたが、それは常識ではないと発言する人も少なくありません。確かに、どこの家庭にも冷蔵庫があって、牛乳はパックで買ってきて、それを何回にも分けて飲めるようになったときから、別に朝にだけ飲むものではなくなりました。
夜に牛乳を飲むことの有効性がテレビや健康雑誌などで盛んに取り上げられたのは、今から20年ほど前のことです。骨粗鬆症になる高齢者が増えて、寝る前に牛乳を飲むことによって骨密度を高めて、骨粗鬆症を予防・改善しようという動きがありました。いつ牛乳を飲んでもよいのですが、乳業メーカーに問い合わせると夜に飲んだほうがよい理由として、4つのことを紹介しています。
1 骨は常に入れ替わっていて、夜は骨芽細胞の働きがよいので、骨が構成されやすいことから、骨の材料となるカルシウムとたんぱく質が含まれる牛乳がよい。
2 カルシウムの骨への沈着は夜に優位になる。
3 睡眠中は成長ホルモンが多く分泌されるので骨が作られやすい。
4 乳たんぱく質に多く含まれるアミノ酸のトリプトファンからセロトニンを経由して、睡眠ホルモンのメラトニンが作られて、熟睡することで成長ホルモンが増える。
牛乳が骨粗鬆症の防止に効果があるなら、欧米人は骨粗鬆症が少ないのかというと、カルシウムの摂取量が日本人よりも多いのに、実は骨粗鬆症は多くなっています。牛乳だけでなく、肉類にもカルシウムは多く含まれているのに、なぜ骨粗鬆症が多いのかと日本人のデータと見比べてみると日本人はカルシウム摂取量が少ないのに、骨は丈夫になっています。それは日本人は大豆・大豆製品、海藻、野菜などから摂るカルシウムの量が多くて、多くの食品から摂ることがよい結果につながっているとの考えです。
朝は夕食からの空腹時間が長かった関係から、小腸での吸収がよい時間帯となっています。吸収がよいということは栄養素の吸収がよいということだけではなくて、有害物質の吸収もよくなっています。牛乳には牛に投与された成長促進ホルモンやエサに含まれる農薬や添加物などが残っているというような不安をあげる人もいますが、そんな不安があるなら、まったくの無添加、無農薬で最も栄養バランスが優れている粉ミルク(調製粉乳)を飲むという方法もすすめられます。
ちなみに私は森永乳業の粉ミルク(乳児用)を30年は飲んでいます。その時間帯は、朝食がパン食であるために朝になっていますけれど。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)