生活習慣病に適したウォーキング

通常の速度による歩行と速歩を繰り返す“歩くサーキットトレーニング”について、健康づくりの基本として自治体に提案していることを話した雑誌記者から、生活習慣病によって効果的な歩き方があるのかを聞かれました。これまでにも生活習慣病の種類による運動法の違いについて語ってきたからです。ウォーキングは生活習慣病に対応する運動療法の基本となっているわけですが、それぞれの生活習慣病によって効果が得られる歩行法があるのは確かです。
ウォーキングを始めたときには平常時に比べると多くのエネルギーを、すぐに作らなければならないので、燃焼しやすいブドウ糖を先に燃焼させます。ブドウ糖が中心になって燃焼するのは10分ほどです。そのため、血糖値を下げるためには、10分間のウォーキングを何度か繰り返す方法がすすめられます。血糖値が高めの人は筋肉をつけるための強化運動も指導されることが多く、歩幅を広くした勢いのよい歩行は筋肉強化にも役立ちます。
血液中の中性脂肪が多い場合には10~15分を超える有酸素運動が必要で、30分以上のウォーキングがすすめられます。内臓脂肪がエネルギーとして使われやすいのは全力で運動をしたときの50~60%の負荷がかかった状態で、歩くスピードとしてはスタスタと腕を前後に大きく振りながら、歩幅も広くする歩き方が有効です。
LDLコレステロール値が高い人は、有酸素運動によってHDLコレステロールを増やすことでLDLコレステロールを減らすことができます。歩行数が8000歩を超えるとHDLコレステロール値が顕著に増えています。
肝機能の強化には有酸素運動が有効で、毎日20分以上、心拍数が「(200-年齢)×60~70%」の強度でのウォーキングがすすめられます。
身体的な負荷を増やすためには中強度のウォーキングである速歩を取り入れ、早く歩きにくい身体状況にある場合には2本のポールを用いて歩行するノルディックウォーキングを採用しています。
ウォーキングは歩くことで、片足が地面に触れています。これに対してジョギング、ランニングは両足が地面から同時に離れるもので、ジョギング、ランニングと比べるとウォーキングは速度も遅く、強度も弱くなっていますが、走ることに比べると身体的負荷が弱く、長く続けることができます。運動強化を高めて歩くことによって、ジョギングなどと同じ運動効果を得ることができます。
ウォーキングとジョギング(ランニング)を比べると、ジョギングのほうが心拍数の上昇が大きく、筋肉への負荷も強いことから消費エネルギー量も多いように思われがちです。しかし、実際には大股で全力歩きする中強度のウォーキングは速度が遅いにもかかわらず、同じ時間で比較すると消費エネルギー量が大幅に高くなっています。
また、ジョギングは長く続けることはできにくいものの、中強度のウキーキングは走るよりも長く続けられます。ノルディックウォーキングの場合には1時間も継続させることができます。
このような内容を、すべて紹介して健康づくりを科学的に進めてほしいとの思いから実施しているのが「インターバルウォーキング指導者」の資格認定です。