男性の脳が女性化してダイエットにも影響

ダイエットの指導をしていて、感じていたことを、運動指導の専門家に話したところ、まったく同じように感じていると言われました。その感じていたことというのは「女性向けのダイエットと同じ指導をしないと通じない男性が増えている」ということです。それについて2人で話していても結論が出ないかと思ったのか、知り合いの研究者にも意見を求めようと呼び出してくれました。その研究者は「男性の脳が女性化している」と切り出しました。
発生学からいうと“女性化した”というよりも“女性に戻った”と言ったほうが正しいかもしれません。受精した後に胎内で成長して人間の形になったときには身体は女性の形をしています。胎内では1個の受精卵が分裂して原生魚類、古代魚、両生類、爬虫類、哺乳類、猿という5億年の変化をしながら人間の形になっていくわけですが、この人間の形も男性は男性の身体、女性は女性の身体になるのではなく、まずは女性の身体になってから受精後40〜50日で男性は徐々に男性の身体となっていきます。
男性は男性ホルモンを分泌することで脳が男性タイプになり、ホルモンの影響を受ける器官が男性の形へと変化していくという過程を経ています。男性と女性で外見的に明らかに異なっているところも、実は女性形から変化していったということについて、詳しいことは別に紹介させてもらいますが、一つだけあげると男性にも乳首があることです。
女性脳から男性脳に移っていく段階で分泌されている男性ホルモンは女性ホルモンによって影響を受けて減少します。男性も女性脳からスタートするのは、母親の女性ホルモンを受けているからです。その男性ホルモンを上回る女性ホルモンが一時的にでも分泌されることで、男性ホルモンの働きが抑えられてしまいます。そのために脳が女性化して、男性機能も低下するようになります。女性ホルモンは抗ストレスホルモンで、女性が妊娠中に強いストレスを受けると多く分泌されるようになります。
男性の中に女性のように優しい性格の人が増えたり、女性の特技とされてきた繊細なことを得意とする男性が増えていること、そして身体は男性でも中身は女性という人が増えてきたりしているのも、母親の女性ホルモンの影響と説明する専門家も増えています。
女性化したからといって男性に通じる筋トレが通じなかったり、女性に共通しているダイエット法が使えるようになるといったことはありません。脳が女性化していても筋肉の増え方が男性の特徴ではなくなったり、脂肪が女性のように増えやすいということは起こりません。しかし、男性にストイックに続けてもらえるはずの筋トレが、その日の気分でやる気が起こらなかったり、こちらのほうが簡単、私に合っているかもと勝手にアレンジするようなことは起こりがちです。
女性にモチベーションを維持してもらって継続してもらうように気を使って指導しなければならないことを、男性にも同じように気を使わないといけないというのはダイエット指導の現場では、よく感じていることです。そのために、男女の区別なく、全員が女性だと思って指導しても通じるという場面も多くなってきたということです。