発達障害児の支援には地域の理解が必要であるものの、それが期待に対して遅れている状況から、理解を進めるための活動が必要であると考えています。その活動の始まりは理解のための講習です。
そのモデルとなるのは国が主導して進めている認知症サポーターです。これは認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域での認知症の人や家族に対してできる範囲で手助けをすることを期待して実施されていることです。
認知症患者は2025年に700万人になると推計されていて、65歳以上の高齢者の5人に1人となる割合です。発達障害は子どもの10%とされていることから、小学生と中学生では100万人近くが対象者になります。発達障害は生涯にわたって特性が継続することから、全国民では1200万人にもなります。
その状況からすると、認知症よりも対策が必要とも考えられるところですが、発達障害は認知症と比べたら社会的な認識も理解も不足しています。認知症は周囲の理解不足や対応が足りないことで状態が悪化することは少ないとされるものの、発達障害は周囲の対応に大きく影響されます。
そのこともあって、発達障害者支援法では、発達障害があって社会的障壁がある人を発達障害者(18歳未満は発達障害児)と定義しているのです。
周囲の理解が発達障害の大きな問題点であるということは、まずは発達障害について理解することが重要になります。認知症よりも対象者が多いのに、そして対応を誤ると悪い状況にもなりかねないのに、発達障害がある人や特性や対応について知る機会は、あまりに少ないのが現状です。
だから、発達障害サポーターの育成のための講習を身近なところから始めようとしているのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕