発達障害児支援施設を運営している方々にリサーチをしていると、施設に通わせれば、すべてやってもらえる、任せきりにしても解決するかのように思い込んでいる保護者が案外と多いことがわかります。
通所施設の放課後等デイサービスでは学校の授業が終わってから夕方までの時間を過ごすことができても、時間中に発達障害の改善のための機能訓練を受け続けられるところは少数です。児童発達支援施設では感覚統合療法などの運動指導などによって機能訓練を受けることができるのですが、その多くは1週間に1回、1時間ほどの対応です。
この時間で、それぞれ状態が異なる発達障害児の能力を高めて、他に何もしないで大丈夫というような状態に持っていくことは至難の業といえます。
児童発達支援施設の取り組みにも大きな差があって、私が監事を務める特定非営利活動法人(NPO法人)は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった医療スタッフが中心となって、保育士、児童指導員(教師資格者)とタッグを組んで感覚統合療法などの対応をしていますが、まだ3施設の運営です。
他に感覚統合療法を実施している施設には医療スタッフがコンサルタントを行っていますが、時間と距離の関係もあって、対応できる範囲は限られています。
子どもたちの改善のための時間は、圧倒的に家庭のほうが長く、施設での機能訓練の結果を生かせるかどうかは家庭での対応にかかっています。家庭で何ができるのか、それは家庭の事情によっても異なってくるわけですが、少なくとも任せきりにするのではなくて、家庭と施設側のスタッフと連携して、一緒になって取り組んでいくという気持ちは必要です。
発達障害の特性は生涯にわたって継続するものではあるのですが、未就学の時期に、どれくらい対応できたのかによって改善の度合いが違ってくるだけに、その認識を持って、子どもと接してもらいたいのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕