発達障害の一つの学習障害は、調査によっても異なるものの、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害よりも多くなっています。学習障害と判断されても、学習面での困難さは学習障害だけにみられることではなくて、自閉症スペクトラム障害でも注意欠陥・多動性障害でも、その特性によって学習での結果が出せないこともあります。
学校の授業は時間が決まっていて、試験の時間も決められています。その時間内で理解をして、書くことや回答に集中するのは、思った以上に大変なことに挑戦していることを周囲が理解することが必要となります。
計算問題の場合には、計算はスムーズにいくのに、計算に取りかかるまでに時間がかかることがあります。何が問われているのかがわかり、そのために何をしなければならないかがわかれば、すぐに取りかかることができるのですが、そのきっかけがつかめないために着手できないよう例も少なくありません。
全体の問題を見て、比較的わかりやすいところから順番にこなしていけば、全部はできなくても点数を取ることができます。ところが、1問目で引っかかると、そこから進めなくなってしまうことがあり、それがクリアできないと全問不正解にもなりかねません。
何が問われているのかが、わかるようにすることが重要であるのに、問題の解き方のテクニックばかりという授業がされているのも事実です。ここさえクリアすれば、学習障害を感じさせない子どもが多いという事実があるというのに。
発達障害は、調子の波があるのは普通のことです。調子がよくないときには回復するまで待つという教え方もあるのは認めますが、試験を克服することを考えると調子の波が低いときでも、ある程度はこなせるようにしていくことが大切になります。調子が悪いときであっても対応できるように、自分の調子に合わせつつも問題を解いていくことにも慣れさせることが必要になってくるのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕