発達支援推進22 レベルの変化への対応

発達障害児を理解して、その対応を考えるときに、“ストライクゾーンの変化”ということをあげています。野球は普通なら9分解されたストライクゾーンに投げ込めばストライクと判定されます。しかし、発達障害児の場合にはストライクゾーンが極端に狭くて、通常ならギリギリと判断されることのないような余裕をもったストライクのはずが、ボール判定をされることがあります。

これは正解とされる範囲が通常の予測を超えて狭いということを示しているのですが、頑張ってコントロールよく狭い範囲のストライクゾーンを狙って投げ込んでも合格にはならないことがあります。これはストラックアウトというゲームと同じで、8分割のマトを抜いたら、残りの1枚に当てなければ合格とはなりません。

それと同じようなことが発達障害児では見られるのです。発達栄養でも、これなら食べられる、その範囲の料理ならOKというつもりで提供しても、食の困難さがある子どもにとっては不合格の料理を出し続けているようなことになります。

なんとか頑張って、完全なストライクゾーンを把握して、そこにピンポイントで当てられるようになったとしても、発達障害ではさらに困難さが加わります。それはストライクゾーンが変化することです。その理由は生理学的な問題や心理的な問題だけでなく、その日の調子によって感覚が変わってしまう、その感覚も強弱などのレベルの変化が激しくて、いつまでたっても合格にならないという、極めて難しいストラックアウトに挑戦しているようなものです。

これはボールを投げ込む側の理屈での話ですが、ストライクゾーンを広くしたい、狭くても固定させたいと願っている子どもの側からすると、それができない、何も勝手に変えようとして変えているわけではないという子どもの側の苦しさとしても理解する必要があることです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕