発達障害児と、その保護者を対象とした発達栄養の講習を始めるときに、活動の障害になっているのは地域での発達障害に対する理解の低さです。発達障害児は、すべての子どもの10%は存在していて、その特性は生涯にわたって改善されることはありません。
完全に改善されることはないとしても、早期発見、早期改善の取り組みによって発達障害の状態を軽減させ、それぞれの子どもの能力を発揮させることによって、社会生活ができるように改善を進めることは可能です。
その一助に栄養摂取は重要で、発達障害に合わせた栄養摂取をすることによって、改善を進めていくことができます。その事実を伝えようとしても、発達栄養の重要性を理解できない、その前に食事の重要性に気づかない、さらに言うと発達障害への理解が足りないという事実があります。
発達障害の理解を進めるためには、厚生労働省による認知症サポーターの養成のように、住民が理解して、それぞれができることから取り組むという地道な活動が大切です。しかし、そういった活動をしているのはごく少数であって、自治体の担当者に発達障害の実態を話して、その理解をしてもらうところから始めないといけないのが実態です。
発達障害者支援法は2016年(平成28年)に施行されていて、国と地方公共団体(自治体)は発達障害の早期発見と早期支援が責務とされています。責務を果たしているかどうかは、それぞれの地域の実情にもよるのでしょうが、少なくとも法律が設けられ、自治体の責務も定められているので、自治体で働く人が知らないことはないはずです。
担当者でないから詳しくは知らないということはあったとしても、担当者として対応してくれるはずの方が実態を知らないのでは、責務とされても進めようがありません。
本来なら発達障害者支援法に従って、全国で一斉に実施されてもおかしくないことを、小さな自治体からピンポイントで始めなければならない、ピンポイントで始めたバタフライエフエクト(蝶の羽ばたき効果)が、いつしか全国で大波を起こすようなことを期待しての、ほんの小さな力学的にわずかな変化を与える“羽ばたき”から始めているのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕