発達支援推進30 メガネを例に支援を考える

発達障害の支援について考えるときに、よく例にあげられるのがメガネの存在です。視力が弱い人はメガネを使って矯正すれば、視力に問題がない人と違いがないほどになり、生活に困らないということになります。

メガネをかけていると、メガネが必要でない人と比べて不便さ、不自由さもあり、視力は変化をしていくので、まったく違いがないということはありません。しかし、メガネをかけていて、学業や仕事に支障が出るということがなければ、メガネは社会的障壁をなくするための重要なツールとなります。

発達障害があっても、それぞれの特性に合わせたツールがあれば改善することができる場合があります。よく見えない、正常に見えないということは発達障害でもあるのですが、それが視力のせいなのか、それとも発達障害によるものなのか、その判断がつかなかったら、発達障害の改善に適した支援をすることはできなくなります。

発達障害の研究が進むにつれて、改善のための支援のツールの開発も進み、例えば学習で文字がよく見えない、大きな文字なら読んで理解できる、文字を自分で読むのは苦手であっても読み上げてもらえれば理解できるという場合にはタブレッドの教育ソフトで対応することができます。

それを採用することは容易にはなってきているものの、同級生が1人だけツールを使うことへの抵抗感があったり、わかりやすくするツールを使うことを(ずるいなどと)批判することがあると、ツールが使いにくくなります。同級生への理解を進めるということも同時に行わないといけないわけです。

メガネをかけている同級生にずるいという気持ちはなくて、むしろ不便で大変なので優しく接してあげようという気持ちがあるのは普通という感覚になっているだけに、発達障害の支援についても同じように接してもらえるような環境づくりをしたいのです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕