発達支援推進33 基本を知って正しい情報を選択

発達障害に関する講習を続けていると、受講者の中から「最近、発達障害の報道や情報が増えましたね」と言うことが聞かれます。

以前であれば、「それは発達障害の関心が高まることで、それまで目の前を通過する情報に気づかなかっただけ」ということを話して、もっと学ぶことで、もっと自分に飛び込んでくる情報が増えるようになる、といった話をしてきました。
しかし、今は発達障害に関わる情報が実際に増えていて、それだけ見聞きする機会が増えています。

一つは、文部科学省が10年ぶりに発表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について」(2022年12月13日発表)で、通常学級(特別支援学校や特別支援学級ではなく)の児童生徒のうち担任が発達障害と判断している子ども(小学生・中学生)が8.8%と発表されました。

以前の6.5%よりも大きく増えたのですが、これは通常学級に通っている子どもで、しかも担任の感覚に頼っているところがあるので、実際には10%に達していると言われてきました。今回の発表で、全体では10%を超えているのは確実と考えられるようになってきました。そういった事実もあって、メディアで発達障害が取り上げられる機会が増えました。

しかし、発達障害がある人と、その家族でないと現実的な問題はわかりにくいところがあり、やはりメディアの影響力は強いものがあります。テレビ朝日のナイトドラマの『リエゾン』は発達障害を扱ったコミックを原作としたもので、それが2023年1月20日から放送が始まりました。ドラマでは発達障害児の困難さと対応に苦慮する方々が浮かび上がり、多くの方々が支援を考えるきっかけともなりました。

そして、2023年4月1日には内閣府に「こども家庭庁」が創設されます。これまでは内閣府と厚生労働省で分かれていた部門が一本化されます。障害児についても子どもが対象ということで厚生省から移管されます。発達障害児への対応は、こども家庭庁の管轄になり、発達障害児と保護者への支援の充実が期待されています。

これらのことによって、受講者から発達障害の情報が増えたとの声が出たら、「そのとおりです」と答えられるようになりました。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕